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イスラム債 「スクーク」

10月26日(木)の日本経済新聞夕刊一面トップに、興味深い記事が掲載されました。
国際協力銀行がイスラム債を発行するとのこと。
原油高による中東産油国の余剰資金を取り込もうとの目論みです。
イスラム債は欧米では90年代から商品開発されてきたようです。
今後の世界経済の潮流を占う上で重要なキーワードになると思われます。

イスラム債は「スクーク」と呼ばれ、面白いのはその特徴。
コーランでは利子による収入を禁止しているので、イスラム債を購入する投資家は「利子」ではなく「投資収益」という形で運用益を得るそうです。
どう呼び方を変えようが利子は利子だと思うのですが。

また、アルコール、豚肉製造、ギャンブル、ポルノ産業などに関わる企業やプロジェクトもご法度。
伊藤ハムやプリマハムは融資を受けられないだろうし、サッカーくじのプロ野球版立ち上げに投資して日本ハムが優勝したりした日には、アラブ人が全員コーラン持って日本大使館のまわりをデモ行進したりすることになるのでしょう。
(なんかカニ助先生みたいな文体になってきたな・・・)

まじめな話、ギャンブルに関わる投資がいけないってのもおかしな気がします。
投資とギャンブルを混同するつもりはありませんが、債権を買うという行為自体、ギャンブル性があると思うのですが。

さらに面白いのは、投資案件ごとにイスラム法学者の判断を仰ぎ、「お墨付き」をもらうのが慣例になっているとか。
「お墨付き」がないと敬虔な信者は買わないのでしょうから、事実上、「お墨付き」は必須ということでしょう。
さて、そのイスラム法学者さんがもらう「お墨付け代」の金額はいかほどなのでしょうか。
私のような下衆な人間はついそんなことを考えてしまいます。
ぼろい商売やのう。

9.11のテロ(?)以降、多くの資金がアメリカ市場から欧州市場へシフトしました。
しかしここへ来て、リスク分散のため、日本などアジア市場への投資機運も高まっています。
日本の銀行によりイスラム債が発行されることにより、世界のマネーが大きく流れを変えてアジアを目指すのです。

国際協力銀行では、まず来年、2007年にマレーシアで数億ドル規模を発行します。
日本企業が参加するマレーシアのプロジェクトに融資する予定だそうです。
ただ、これは現地通貨建てらしく、ドル建てのイスラム債は2008年の中東での起債を待たねばなりません。
新聞の記事によると、イスラム金融制度の整備が進むバーレーンが中心になるだろうとのことです。

中東のオイルマネーが日本の銀行を通じてアジアのインフラ整備に運用される。
中東の投資家は銀行から「投資収益」(利子)を受け取り、銀行は融資で潤う。
アジアの国々はどんどん豊かになり益々石油を使う。
中東産油国はさらに金持ちになり、人類が地球の石油を全部使い切っちゃう日は益々近いものとなる・・・。

ま、そうは言っても石油の採掘技術はどんどん進歩してて、埋蔵量に対する可採率は高まっています。
また、新しい油田も発見されており、ロシアには相当量の石油が眠っていると言われます。
こんだけじゃんじゃん石油を使っても可採年数が減らないのはそのためです。

イスラム債「スクーク」によりオイルマネーがアジアに流れ込めば、発展の遅れた多くの地域が活性化するチャンスとなります。
大いに期待したいと思います。


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