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戒厳令を可決したソマリア暫定議会 [ソマリア]

去年の12月から特に気をつけてソマリア情勢を見ている。
2006年6月に首都モガディシオを占領した「イスラム法廷連合」。
隣国エチオピアはこれを警戒し暫定政府を支援して軍事介入。
12月に国連安保理はPKF派遣を決定するが、戦乱はさらに激化。
アルカーイダの掃討を口実に介入するアメリカはついに空爆を実施。
そして1月13日、暫定政府議会は3ヶ月の戒厳令を可決した。

アメリカによる空爆は1月8日から10日にかけて行われたようだ。
兵士と民間人、それぞれ何人殺したのか早く教えてほしい。

10日の晩から情報が入らなくなった。
新聞もテレビのニュースも沈黙。
インターネットもそれらしい情報にヒットしない。
まるで空爆はなかったかのよう。
事実を認めないアメリカ政府に報道規制でもされたのか。

今朝になって戒厳令のニュースが新聞各紙で報じられた。
「イスラム法廷連合」の残党は森林地帯に逃げ込んでいるという。
警察も軍隊も壊滅状態の暫定政府が発令する戒厳令など意味がないとも言える。
であればエチオピア軍とアメリカ軍はいつまで駐留し続けるつもりか。
3ヶ月の間に治安を回復したいのだろうが、冷静に考えて無理である。
アメリカは自軍の兵士さえ死ななければいつまででもやっていたいんだろうが。

ソマリアには血族を中心に武装した集団が多数ある。
その大多数が「イスラム法廷連合」と協力関係にある。
原因はエチオピアの介入にある。

エチオピアにはイスラム教徒もいるが、大半がキリスト教徒。
キリスト教国と言っていいと思う。
対してソマリアはイスラム教を国教としている。
大多数がスンニ派だ。

少し脱線するが、イスラム教の多数派はスンニ派。
シーア派は少数勢力でイラン、イラク、レバノンに多い。
イラク住民はシーア派が多いわけだが、フセイン政権はスンニ派だった。
だからシーア派は弾圧された。

サダム・フセインはイスラム原理主義と対立していた。
彼は民族主義者だったが原理主義者ではなかった。
そのフセインをアルカーイダと共謀しているとしてイラク戦争を始めたブッシュ。
国際情勢にちょっと明るい人なら誰でもおかしいと思うのだが、多くのアメリカ人はブッシュを支持した。
残念ながら日本人もブッシュのとんちんかんに気づいた人は少なかったようだ。
私がサダム・フセインの死刑に批判的であるのは単に人道主義からだけではない。

エチオピアの北にエリトリアという小さな国がある。
ここもイスラム教徒が多い国だ。
当然ながら「イスラム法廷連合」を支援している。
エチオピアとエリトリアの間には領土問題がある。
「イスラム法廷連合」が権力を握ることはエチオピアの領土を脅かすことになる。
また「イスラム法廷連合」はイスラム原理主義を掲げているため、キリスト教国のエチオピアにとって非常に脅威である。
エチオピアがソマリアに軍事介入する理由はこういったところである。

アメリカが軍事介入する理由はアルカーイダの制圧である。
しかし本当に制圧する気があるのか甚だ疑問である。

オサマ・ビン・ラディンは今も「安全な場所」で生存中だという。
「安全な場所」とはどこか。
アメリカは最初から捕まえる気などないのである。


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コメント 2

もん

はじめまして。yutakamiさんのブログから拝見しております。
グーグル、検索、フィルターで検索するとフィルタリング外しの方法が出ています。今まで引っ掛からなかった海外報道や関連サイトも随分と増えます。但しかなりエグイものも出てくるので両刃なのですが。
by もん (2007-01-15 11:05) 

リス太郎

もん・とれぞーさんへ
はじめまして。いらっしゃいませ。フィルタリング外しですか。一度やってみます。ありがとうございます。
アイコンのカエルがかわいいですね。うちにもケロん太というカエルがいて、私の息子です。よろしく。
by リス太郎 (2007-01-17 02:46) 

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