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全国学力テストをめぐり 五十嵐さんからの手紙 [五十嵐さんからの手紙]

5月1日に『全国学力テストで流出する個人情報』と題し、記事を書きました。
4月24日に実施された学力テストに対する批判なのですが、五十嵐さんとおっしゃる方から何度もコメントをいただきました。
独自に学校を取材し、報告していただいております。
読んでくださっている読者の方も多いとは思いますが、今一度、改めてご紹介したいと思います。
「教育利権」とでも言うのでしょうか。

子どもを進学させたい親のため、全ての納税者が犠牲になってる。
受験産業だけでなく、学校や教育委員会もグルだ。
一条校に認められない民族学校に子どもを通わす親たちの税金。
これも利権の食い物となる。
最終的な責任が文部科学省にあることは言うまでもなく、伊吹文明は見解を明らかにすべきである。

以下、五十嵐さんからのレポートを紹介する。

          ■

 今、全国の高校ではベネッセの進研模試を学内で実施しているところが急増しています。この模試では学力テストと同時に全国学力調査と瓜二つの学力状況調査が実施されています。

 「両親の夫婦仲は良いですか」「祖父母と同居していますか(父方か母方かまで聞いています)」など家族のプライバシーに関する項目が目白押しです。(ベネッセは老人介護事業も手がけているからです)

 学校側は利用目的を明らかにするどころか家族の同意を取ることも無く、それらの情報を生徒の実名入りでベネッセに提供しています。この行為は明らかに個人情報保護法違反です。

 当然のことながら学校側にはテストを実施することにより一件当たり受験料の一割程度が手数料として支払われており、そのお金は秘密資金としてプールされ(帳簿に載せられないからです)先生方に、時間外の部活の指導料、模試の監督料などの名目で配分されています。

 模試の回数、参加者を増やせば増やすほど学校の「臨時収入」が増えていくしくみがしっかり出来上がっています。愛知県のある学校では三年生の4月から年末にかけて10回もの民間業者模試を実施している学校もあります。より詳しく知りたい方はブログサイト「全国学力テスト110番」を参照してください。
http://blog.goo.ne.jp/gakute110/e/319861fca9ead617837ee17f1eebe5d1

by 五十嵐 (2007-05-03 21:20)

【ブログ管理人の篠原より】
ベネッセと学校の癒着は明らかであろう。
日本の教育が、公教育までもが、受験産業に操られているのである。

          ■

 先日訪問した愛知県立津島高校のY教頭の対応はひどいものでした。(情報公開条例に基づく文書開示をするということで名古屋から出かけたのです)

 *「 」は私の質問( )は学校側の答え?です。
「業者からもらった手数料は誰に渡したのか」
(テストの監督をした先生たちだ)
*前日の電話では時間外の部活指導をしている先生に配分したとの答えでした。県教委と口裏あわせをしたのです。
「誰が幾ら受け取ったのか」
(あなたに言う必要は無い)
「ベネッセの模試は地元の書店を通じて行っているとの事だが書店名を教えてほしい」
(教えられない)
「どうしてか」
(あなたに理由を言う必要は無い。時間が無いのでこれまでとしたい)
*この間わずか10分間。

 余程表に出せない事情があるようです。こんな状態を放置したら多くの公立高校は早晩実質大手受験業者のチェーン校になってしまいます。
 今回の問題に関しては一部の学校だけを問題にするわけにはいかないという思いから県下150校を超えるすべての公立高校を訪問し直談判することに決めました。
 民間業者との不明朗な関係を絶つこと。すでに提供してしまった個人情報は業者に返却、消去させることを学校として責任を持って実行することを要求していきます。
 愛知県公立高校お遍路の旅が始まります。
by 五十嵐 (2007-05-04 22:55)

【篠原より】
学校だけでなく、教育委員会もベネッセなど受験業者に買収されている。
彼らは顧客(保護者)満足にかこつけ教育を食い物にしている。
生徒の学力を上げること、質の高い教育を施すことは、彼らの本来の目的ではないのである。

          ■

 今日聞いた津島東高校の二年生バスケット部の生徒の生活ぶりはすさまじいものでした。まず朝は0時限の補習を受けるため午前5時台の電車で登校します。そして授業は補習を含め8時限まで続きます。それから部活の練習がはじまり日課となった3点シュート100本を成功させて帰宅するのは夜10時過ぎ。そして深夜まで宿題。こうした生活が毎日のように繰り返されます。
 彼はまだ2年生にもかかわらず過酷な学校生活に疲労困憊の様子だそうです。まさに高校生活は競争社会日本で生き残るための予行演習の場となっています。
 校内で民間業者の模擬試験など即刻やめるべきとの主張に対し、県教委の担当者は、先生方が勝手にやっているのではなく、一義的にはあくまで子どもの志望大学進学を願う保護者の強い要請に基づくものであるとして学校側の対応をを擁護しています。(学校で補習を実施してくれれば塾に行かなくてすむし模擬試験も割安で受験できるということも付け加えました)
 しかし高等学校は生徒の大学進学の便宜を図るために設置されているのではありません。学校教育法は高校教育の目標として「国家及び社会の有為な形成者として必要な資質を養うこと、社会について、広くて深い理解と健全な批判力を養い、個性の確立に努めること」を掲げると共に、生徒の進路に関しては「社会において果たさなければならない使命の自覚に基づき,個性に応じて将来の進路を決定させ」と子どもの自覚に基づく自己決定権を明確に規定しています。(第42条)
 したがって多くの高校が生徒の意思など全く無視して半ば強制的に模擬試験を受けさせるなどということは明白な法令違反にほかなりません。財政面から見ても、そもそも高校生の1人当たり運営コスト(年間100万円程度)の8割以上は保護者ではなく国民が負担しているのであり、上記法律の趣旨を生徒、保護者にきちんと説明することこそが教育委員会、学校の責務だと思います。
by 五十嵐 (2007-05-05 21:51)

【篠原より】
全くそのとおりである。
私が最も問題にしているのはここである。
納税者は異議を唱える権利と義務がある。

          ■

 リス太郎さんへ。私のコメントに注目していただき有難うございます。ところで明石書店の「全国学力テスト 参加しません」という本については、皆さんに知っておいてもらいたい事情が有ります。
 犬山では今年行われた市長選挙で学力テスト推進派の田中氏が当選しました。私は当選直後、市長に電話をかけ、教育委員会に圧力をかけることは越権行為なのでやらないよう要請しました。彼とはかれこれ30分ほど話をしたのですが今でも印象に残っているのが「教育委員会の名前でこんな本を出版するなんてとんでもない。これだけはやめさせたい」という言葉です。
 しかし犬山市教育委員会は度重なる市長の「圧力」に屈することはありませんでした。そして市長も出席した教育委員会の会議で教育委員5人全員が学テに対する意見表明を行った後、全員一致で学テ不参加を決議したのです。市長は腹いせに教育委員会が毎年開催している教育シンポジウムの予算を削ってしました。(180万円)
 意見があるならシンポジウムの場で議論すべきです。
by 五十嵐 (2007-05-06 20:43)

【篠原より】
犬山市教育委員会がなぜこのように勇気ある行動が取れたのか?
そこに注目していただきたい。

          ■

 ベネッセが模擬試験と並行して実施した学習状況調査については、さすがにまずいと思ったのか、今日訪問した3校とも(津島北、五条、津島東)ベネッセの模試は実施していることを認めながら学習状況調査は行っていないと言い出しました。昨日県教委のS氏にこの問題をただしたとき、ひどくあわてていたので、何か対処してくれるのではとの淡い期待を持ったのが間違いでした。(事実の揉み消しを図ることで県と学校が意思統一してしまいました)
 それでもこれを機に学習状況調査だけでも中止になれば一歩前進と思いかけましたが、やはり甘すぎると反省しました。なぜなら今年からベネッセは自社のゼミ生(400万)に加え日本の小学生ほぼ全員の情報を入手できる手段を手に入れたのであり、高校で情報が取れなくなっても痛くもかゆくもないからです。
 それにしても高校に対するベネッセの浸透力は目を見張るものがあります。まだ尾張東部の一部の学校を調査しただけですが、この地域のほとんどすべての学校がベネッセと何らかのつながりを持っています。「進学校」で知られる五条高校では、学校の進路講習会でベネッセの担当者が保護者を相手に、それぞれの学年における心構え、学習方法、子どもの生活面での注意点などについて講演を行っています。
 一人の力は微力であるにしてもてこの「流れ」を変えるために何ができるのか、模索の日が続きます。
by 五十嵐 (2007-05-08 22:05)

【篠原より】
受験産業を儲けさせ、利権を生むだけの受験戦争。
最大の被害者は子どもたちである。
そして被害者でありながら最大の加害者はその親である。

           ■

 先に紹介した五条高校では、模擬試験などの手数料を先生ではなく、進学後援会と称する保護者の任意団体(全員加入)が資金管理をしているとの事。恐らく同校が実施している「居残り学習」(夜8時まで)でサービス残業をしている先生の手当てにも配分されているに違いありません。(学校側が実態の公表を拒否しているので新たに情報公開を請求しました)
 かつて先生の補習活動に対し、保護者の負担で謝礼金を出していたことが問題になったことを思い起こすと、業者からの手数料を新たな財源とし始めたというほか無く、問題がより深刻化したと言えます。
 これと似たような事を行政がもっと露骨に始めたのが新聞でも報道された福島県の川内村です。ここでは村が学校では無く公民館に小中学生を集め、公募で選考した民間業者に補習をさせています。予算は年間900万円(300万円は原発補助金)生徒の自己負担は月2千円ほどで8割以上を村が負担しています。
 きっかけは全県の学力テストで村の子どもたちの成績が悪かったからだそうです。業者の契約期間は1年、成績が上がらなかったら交代です。
 五条高校でもそのうち業者の指導スタッフに講演だけでなく、受験指導に留まらす究極的には学校運営そのものを依頼し始めるかもしれません。(すでに多くの私学ではそうなっている学校が増えているそうです)
by 五十嵐 (2007-05-10 23:13)

【篠原より】
原発補助金を民間の受験業者に垂れ流してどうすんだ。
こうやって競争をあおるばかりでますます中身のない教育がつめこまれる。
社会に役立つ学力、人間に必要な学力、などと言っても連中には意味がないだろう。
カネがすべてなのだから。

          ■

【五十嵐さんへ】
あなたがどういうご職業なのか推測でしかわかりませんが、レポートを継続していただき有難うございます。
こういうことをしていると、嫌がらせの電話とか、手紙とか、妨害行為とか、いろいろあると思います。
めげずに頑張ってほしいですが、お体だけは無理なさいませんよう、お気遣いください。
私のブログの読者には、教育関係の方も多いようです。
多くの方に読んでいただけるよう、紙面の充実に努めたいと思います。
これからも引き続き取材レポートをいただけますよう、伏してお願い申し上げます。
益々のご活躍をお祈り申し上げます。
                                    2007年5月11日
                                             篠原拓生

          ■

『全国学力テストで流出する個人情報』
2007年5月1日

4月24日(火)、文部科学省の全国学力テストが43年ぶりに復活した。
小学6年生と中学3年生を対象に、国語と算数(数学)のテストを実施した。
参加したのは全国の小・中学校の約99%。
公立では全国調査に反対する愛知県犬山市の14校が不参加。
私立学校の参加は約6割だった。
このニュースをどのように受け取られただろうか。
新聞やテレビでは見えてこない問題点についてまとめてみたい。

そもそもこんなテストを強制する権利が文部科学省にあるのかという疑問が私の場合は強い。
他にもさまざまな問題点があって、反対する立場の人びとにも温度差がある。
私の場合、国が音頭をとって全員に学力テストをすること自体が問題だと考える。
試験問題の内容がどうとか全く興味がない。

日本の子どもたちの学力を診断し、学力低下に歯止めをかけるという。
国際学力調査の成績を気にしているようだが、本物の教育を志す教師や子どもたちには迷惑千万である。
また私にはそれが本当の目的だとは到底思えない。
なぜなら学力を測るだけなら抽出テストで十分だからだ。
そんなものに77億円も使わずに、戦後補償をちゃんとやれ。

私は以前、教育バウチャー制の問題点を記事にした。
今回のテストは教育バウチャー制をも念頭に置いていると考えられる。
テストの結果は都道府県レベルでしか公表しないというが。
そんなものどこからでも簡単に流出する。

採点と集計を委託されるベネッセとNTTデータ。
個人情報が絶対に流出しないという自信があるか。
それは無意味な競争を激化させ、数字偏重の魂のない教育へとつながる。
教育は百年の大計という。
安倍や伊吹は意味をわかって言っているのか。
社会だけでなく教育にも格差を持ち込みたいらしい。

このテストでは、「朝食を毎日食べているか」や、「週に何日塾に通っているか」などの家庭状況に立ち入ったアンケートまで用意された。
そういった情報もベネッセやNTTデータに渡るのである。

小森陽一東京大学教授と佐藤学日本教育学会会長ら8人は、子どもの個人情報を企業に委託することに反対するアピールを発表した。
序列化は学力向上につながらない、個人を特定できる調査を受験産業にゆだねることは個人情報保護法に違反する可能性がある、としている。
堀尾輝久元日本教育学会会長は、「子どもの『学力総背番号制』になり競争を激化する」と指摘する。

4月16日の毎日新聞では、文部科学省学力調査室長の高口努氏、東京私立中学高校協会会長の近藤彰郎氏の意見をそれぞれ掲載し、読者に賛否を問うた。
近藤氏は「9月まで結果の出ないテストでは指導に活かせない」としている。
しごくもっともな意見である。

他にも週刊現代など週刊誌や、大手新聞各紙、地方紙、業界紙などで、盛んにこの問題は批判された。
しかしテストが実施され、新聞を開くとどうだろう。
朝日新聞は社説で問題点を指摘しているものの、記事自体はとぼけている。
苅谷剛彦・東京大学大学院教授(教育社会学)が批判的コメントを寄せているぐらいだ。

朝日でこの体たらくだから読売や産経は推して知るべしである。
馬鹿らしいのでチェックしていない。
日本経済新聞にいたっては、「ふざけるな」と言いたい。
誰が書いた記事か知らないが、ピントのずれまくること甚だしい。
「うちは経済紙なんで」では通らない。
もう少し勉強しろ。

全国で唯一不参加を表明し実行した愛知県犬山市教育委員会。
犬山市はなぜ参加しなかったのか。
犬山市はどういった教育を実践しているのか。
それを知っていただきたく自社の本で恐縮だが紹介したい。
教育関係者必読である。

『全国学力テスト、参加しません。』   犬山市教育委員会の選択
犬山市教育委員会 編   定価 1,260円   明石書店 発行


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めぎ

こういう話で取材するには大変なことがあるでしょう。
続きのお話を伺うのを楽しみにしてます。
リス太郎さんのブログ、いろんな話題があって面白いわ~
by めぎ (2007-05-11 04:32) 

う~ 日本に帰りたくない……
by (2007-05-11 23:29) 

 五十嵐

 皆さん私が書いていることに関し色々ご心配頂き有難うござおいます。幸いなことに?今のところ何の反応もありません。「全国学力テスト110番」への書き込みに対しても全く反応が無いので、読んでくれている人がいるのか逆に不安です。以前トヨタが中心になって設立した海陽学園(昨年愛知県ラグーナ蒲郡で開校)に関し「こんな学校は学校法人として認可すべきでない」として実名、連絡先を明記してかなりの量の批判的コメントを関連ブログに書き込みましたがこれまた全く無反応。かかってきたたった一本の電話は、この学校に入学を希望している保護者らしき人から「海陽学園の学校説明会の日時と場所を教えてほしい」というものでした。この学校は当時インターネットを通じてしか連絡がとれない体制をとっており一般の人には電話番号を知らせていなかったのです。話を本題に戻しますが津島東高校では、なんと「道徳」「総合的学習」の時間にベネッセのスタッフが受験指導を行っているそうです。そこでは校内模試の結果の講評と共に成績向上のためにベネッセの教材をしっかり活用する事の必要性をデータ付で強調されたとの事です。(同社の学校向けパンフには「進研模試は実施前~成績返却後のご指導までをサポートします」としたうえで「先輩たちの足跡を見せることで今後の成長の可能性が見え、やる気の向上につながります」と書かれています)いくら同社の事業活動に協力して手数料を得ているからといって,正規の授業時間中にベネッセの宣伝活動をさせるのは常軌を逸脱しています。さらに同校はベネッセの受験指導プログラム通りの学校運営を行っています。(試験の日程だけでなく、進路講習会、保護者の面接の時期まで指定するという念のいれようです) 今、名古屋市が名古屋市民会館の名称使用権を中京大学に売却(中京大学文化芸術会館となる予定)しようとしていることが問題になっていますが、同校はすでに実体としてベネッセ学園津島東校になっています。ベネッセは近隣校のデーターをそれぞれの学校に提供することにより,巧妙に学校間競争をあおりたて同社と学校との連携関係を年々強化しているのです。かくして生徒にとって学校は一年生の時から受験一辺倒の「灰」スクールと化し、保護者の負担は増えるばかりです。そして教師は平日の早出、残業に加え休日には模試の監督までさせられるのですから何らかの見返りを求める状況になるのも必然です。誰が見ても異常としか言うほかないこの悪循環をどこかで断ち切らなければならないと思います。
by  五十嵐 (2007-05-12 22:22) 

五十嵐

 名古屋市民会館の問題は今まで書いてきたことと関連があるので、東海自治体学校(20日、愛知勤労でAM10時開会)の資料として書いたコメントの要旨を紹介します。「名古屋市は先日名古屋市民会館の名称使用権を中京大学に売却すると正式発表しました。大学側は名称を「中京大学文化芸術会館」とする意向との事ですが、大規模なスポーツ施設とは異なり、企業がホールそのものを所有するケース(サントリーホール等)が多数見られる今日、誤解を招くような名称変更を行うべきでは有りません。上記名称にした場合、市には年間5千万円が入ってくるとの事ですが、この会館を利用する団体は、その企画を告知、宣伝するために会場名として中京大学の名前を無料で書き込まねばなりません。また市民会館を学校行事で使用してきたライバル私学は実質会場使用権を奪われることになり公共施設としての役割が果たせなくなります。財政的に苦しいから名前を売れば金になるという安易な方策に走るのではなく、この際公共ホールの現状、問題点、あるべき方向についてオープンな市民的議論をすべきです。中京大学に関しては、スケートの浅田、安藤選手など有名選手を大学の宣伝に利用しているとしか思えない活動が目立ちます。そもそも各種税金を免除され多額の補助金を受け取っている学校法人が、教育事業そのものではなく単なる売名行為のために年間5千万円もの費用を支出することは道義的にも許されるものではなく、そんな余裕があるのなら補助金を返還するか学生に還元すべきです。市は今回の決定に当たり、応募企業名を公表せず(公表しようにも応募0でした)選定審議会も審議、議事録を含め非公開でした。これでは市民は結果だけを知らされたことになり到底納得できるものではありません。大学担当者の話によれば昨年末の公募期間中には応募が無かったため、今年3月末市民経済局の担当部長B氏ら3名が大学を直接訪問し応募を依頼されたとの事。これでは地下鉄環状線の開通による便宜供与を背景に無理やり契約にこぎつけたと言われても仕方が無いでしょう。以上の理由により今回の決定の撤回を求めます」(同趣旨の要望書は担当部局宛に提出済み) *少子化の進行、大学の乱造などにより多くの私立大学は危機的状態に陥りつつあり、生き残りをかけ熾烈な競争を展開しています。全寮制中高一貫校として海陽学園が誕生したことは東海地方のみならず全国の私学関係者にも大きなインパクトとなり、早速、立命館大学が岐阜市立商業高校を買収し中高一貫校にする意向を表明し波紋を広げています。しかし相対的に学費の安い公立高校がつぶされ、一般市民には手の届かない高額費の学校が増えるばかりでは多くの国民にとって迷惑千万です
by 五十嵐 (2007-05-13 08:14) 

日教組

日教組ってわがままな子供みたいですね。
by 日教組 (2007-05-15 13:44) 

五十嵐

 私が福島県の川内村のことを紹介した直後に同県の高校生の殺人事件が起こりました。福島県では川内村だけではなく県教委が民間業者との連携のモデル事業を昨年から始めましたが、この事業に公募で選ばれたのがベネッセです。テレビでも放映されていましたが学校でベネッセの教材をを使ったEラーニングが導入され、同社のスタッフが教室で直接指導を行っています。事件を起こした生徒が通う高校では多くの生徒が下宿通学しているとの事ですが、川内村でも村内の高校の分校ではなくいわゆる都会の「進学校」に通わせる家庭が数多く見られるとの事です。今回の事件は世界の動向などには目もくれず、ただひたすら受験に勝ち抜く力を付けさせることを教育行政の柱とするやり方がいかに常識では考えられない悲劇をもたらすかという事を象徴的に示したものです。少年は「世の中から戦争やテロがなくなればいい。相手は誰でも良かった」と供述しているとの事。事件当日はイラク特措法を2年延長する法案がが衆議院を通過した日でした。普通の神経を持った人間ならば、毎日のように米軍の爆撃や自爆テロで大勢の人が殺されているイラクの現状に心を痛めているはずであり、彼はとりわけその事に敏感だったはずです。一見、イラクの状況に無関心な国民に対し何らかのインパクトを与えること、また自らの尊厳を守る上で障害となる教育熱心で体制順応的な母親から逃れたいとの思いが重なって今回の事件につながったと見るのが妥当なところではないでしょうか。だとすれば少年もその母親も日本社会の「犠牲者」といえるでしょう。報道されている断片情報からだけでも容易に推測可能な今回の事態に対し「生徒の心はうかがい知れない深い闇だ」と述べる県の教育長の「心の闇」のほうがより重大です。
by 五十嵐 (2007-05-16 23:42) 

五十嵐

 浅田選手といえば中京大中京高校普通科2年生です。学校側の説明によればスケート連盟の要請により去年1年間は練習のため海外暮らしでほとんど登校していないとの事。単位は簡単なレポート提出で認め2年生に進級させたとの事。浅田選手は愛知県の交通安全啓発ポスターにも姉妹で登場。(予算委1千万円) これも学校には親から連休明けにメールで事後報告があっただけ。一般の生徒には考えられない特別待遇です。いくら世界的名選手とはいえ、このようなことが許されてよいのか疑問です。
by 五十嵐 (2007-05-18 11:33) 

五十嵐

 中京大学は昨日同校豊田キャンパス内に総工費15億円を投じたフィギュア専門のスケートリンク(中京大学アイスアリーナオーロラリンク)をオープンしました。記念式典にはもちろん安藤、浅田選手が「出演」しその様子はマスコミを通じ大きく報道されました。屋外トレーニング場も備えたこの施設は文科省のナショナルトレーニング強化拠点施設として指定されたとの事(元スピードスケート選手の橋本聖子氏は自民党参議院議員)。県の担当者に話によれば浅田姉妹が交通安全運動のイメージキャラクターに選ばれたのが今年3月。(このような企画を県として行うことは過去に無いということ)。名古屋市が中京大学に市民会館の名称使用権の売却を学校側に働きかけていた時期とぴったり重なります。大手広告代理店博報堂が実務担当業者として企画コンペで受注したのが4月。全県的なキャンペーンポスターの掲示、ラジオCMが始まるのが6月。(浅田姉妹側に支払われる出演料は2~3百万円との事。エージェント:IMGに言わせると格安料金だそうですが宣伝効果は抜群のはず、長い目で見れば充分元は取れます)。そして名古屋市民会館から中京大学文化芸術会館への名称変更予定が7月。こうしてみると実にうまく計算されたスケジュール設定というほかありません。
by 五十嵐 (2007-05-20 21:31) 

リス太郎

めぎさん、kouさん、mompeliさん
ナイス有難うございます。
by リス太郎 (2007-05-21 04:40) 

リス太郎

RINAちゃんへ
どこにナイスくれたのかわかんないけどありがとね。
by リス太郎 (2007-05-21 04:41) 

リス太郎

五十嵐さんへ
コメントの継続、有難うございます。出張やらで返事が遅れ申し訳ありません。たった今、丁寧に拝読いたしました。確かにこういった問題に対する市民の関心の低さには驚きを禁じえません。それはマスコミの責任でもあり、私のような中小出版社に勤める者にも責任の一端があります。しかし私はそう悲観ばかりもしていません。良識ある市民というのは一定数存在し、いざというとき国を救うのはそういった人たちです。当記事のアクセス数も現在209にまで上っています。前回の記事は236です。これは私のブログの中では多いほうです。

ベネッセと中京大学の話、興味深く拝読しました。
『そもそも各種税金を免除され多額の補助金を受け取っている学校法人が、教育事業そのものではなく単なる売名行為のために年間5千万円もの費用を支出することは道義的にも許されるものではなく、そんな余裕があるのなら補助金を返還するか学生に還元すべきです。』
との記述は、赤線を引っ張りたい衝動に駆られました。

また、福島県川内村の母親殺しの件、全くそのとおりだと思います。実に貴重なご指摘だと思います。

読者は確実に存在し、これからも増やしていきます。
引き続きレポートをお願いします。
by リス太郎 (2007-05-21 05:00) 

五十嵐

 どうして中京大学はほんのごく一握りの選手のために15億もつぎ込んだのか、また運営経費をどうやって捻出するつもりなのか不思議に思いましたが、文科省の説明を聞きそのカラクリがわかって来ました。先にも書きましたがこの施設は文科省の強化拠点指定施設となりました。この指定を受けるとオリンピック強化選手が練習をした時間に限り、施設のランニングコストが補助されるとの事です。報道によればフィギュア専用のリンクは日本には数が少なく県外の選手もこのリンクを使って練習する事になるそうです。何日、何時間練習したのか、光熱費、リンク整備費がいくらかかったのか全て運営側の自主計算、自主申告です。いくらでも水増し請求可能です。建設コストはどうせほとんどが金融機関からの借り入れでしょうから大学は1円の費用も負担することなくこの施設を運営するとともに、事あるごとに中京大学の宣伝ができることになります。練習時間分の運営費しか補助金が出ないのですから、浅田選手はより長時間の練習を強いられ、ますます学校どころではなくなるでしょう。中京大学の広報担当者は「国の補助金はいくら出ているのか」「浅田選手に式典の出演料は払ったのか」などの質問をしたとき、「よその大学のことにどうして口出しをするのか、いいかげんにしてほしい」とにわかに怒り出しまったく話し合いになりませんでした。しかし私学といえども運営経費のかなりの部分を国民全体が負担している以上、国民には学校の運営方針に疑問を抱いたとき説明を求めるとともに意見表明をする権利があります。このことを真っ向から否定すような人物を広報担当者に指名する中京大学に学校経営の資格はありません。
by 五十嵐 (2007-05-21 21:49) 

リス太郎

五十嵐さんへ
中京女子大学は駒井洋先生がおられるので知っていますが、中京大学というのは実は知りませんでした。こんな仕事をしていながら不勉強なのですが、中京女子大学とは無関係のようですね。
中京大学については事実を究明する必要がありそうですね。何か新しい情報があればお願いします。いずれ中京大学だけで独立した記事を設けたいと思います。
by リス太郎 (2007-05-24 01:53) 

五十嵐

 愛知県教育委員会から県立五条高校に関する文書公開請求に対する返事が来ました。その内容は「団体に関する情報であって、公にすることにより、当該団体の正当な利益を害するおそれがあるため(金額に関しては公開できない)」というものでした。求めていたのは保護者が組織しているという「進路後援会」の収支報告書です。この団体は業者テストを学内で実施することによって得られた手数料を管理しているとの事です。それを公表できないということは集めたお金が「裏金」であることを認めたことになります。県教委は模擬試験の監督をすることによって先生がもらったお金は謝金だからかまわないといっていましたが今回はどう釈明するつもりなのでしょう。公にすることによって害される「正当な利益」とは一体何なんでしょう。全く理解できません。そもそも「進路後援会」は学校側の説明によれば学校から独立した保護者の任意団体ということになっています。ならばどうして県教委とは関係のない団体の情報の公開に関する決定権を県が行使するのでしょうか。
by 五十嵐 (2007-05-25 20:33) 

リス太郎

五十嵐さんへ
愛知県教委の回答は理解できませんね。「当該団体(進路後援会)の正当な利益」って何なんだ。「正当」であるなら公開しろよ。「正当でない」から公開できないんだろうが。
by リス太郎 (2007-05-26 13:01) 

五十嵐

 名古屋市民会館の名称使用権売却に関し市の経済局担当部長B氏とは文化観光部長別所真三氏のことです。この別所氏、なんと市民会館のネーミングライツ選定委員会の選定委員であることが判明しました。市の担当者が選定委員の名前を教えてくれないので文書公開条令を使って公開を求めていたのですが、今日公開された文書からそのことがわかったのです。ネーミングライツのセールス担当者が審査委員を勤めるなんてインチキそのものじゃないですか。また県の交通安全キャンペーンに関しては企画コンペと称しながら事細かな条件がついています。(これも文書公開でわかったことです)例:イメージキャラクターとして浅田姉妹を活用すること、ラジオ20秒スポットとしてAM80本以上、FM78本以上、2種類のポスターを40000枚以上作成する事など。ポスター4万枚以上なんて、あらかじめ発注業者を決めていたとしか思えません。審査委員は全員内部職員であり、いわゆる広告の専門家は一人も入っていません。にもかかわらず審査基準はアイデア及びデザイン、事業費の効率性など14項目について4段階評価で点数化し、その合計点で決めるとしています。ちなみにポスターの作成指定枚数を10%以上上回ったら10点、指定以下ならー10点だそうです。読めば読むほど疑問がわいてくる内容です。
by 五十嵐 (2007-06-01 21:57) 

リス太郎

五十嵐さんへ
名称使用権を売り込む人が選定委員も兼ねているわけですね。じゃあ、そもそも選定委員会はなんのためにあるんでしょうね。「買いませんか?」と言いながら、もうひとつの顔で賄賂でも要求するのでしょうね。
交通安全キャンペーンの話、普通こういうのは入札だと思うんですが。裏金がどっからでも落ちていく仕組みになってますな。
by リス太郎 (2007-06-02 02:01) 

五十嵐

 名古屋市民会館の新たな名称は中京大学文化市民会館に決まったとの事。このことで例年入学式を市民会館で行ってきた愛知大学など他の私学は事実上会館の使用権を奪われることが確定しました。名称変更と時を同じくして、浅田選手を使った交通安全ポスターが全県いっせいに公共施設を中心に張り出されます。普通、大学がオープンキャンパスなど大学の宣伝ポスターを市役所、図書館等に掲示を頼んでもダメということです。地下鉄構内にポスターを張ったら一月一枚につき掲示料として3万円もかかるそうです。(浅田ポスターは地下鉄の20駅で掲示予定)。浅田選手の写真を見た県民の多くは中京大学をイメージします。中京大学はポスター作成費(公費負担)はもちろん掲示においても他大学とは比較にならないメリットを得ることになります。このような事態に県下の他の私学が何も言わないのが不思議です。私たちの知らないところで何か便宜を受けているのしょうか。調べてみる必要がありそうです。
by 五十嵐 (2007-06-04 19:48) 

リス太郎

五十嵐さんへ
そうですね。五十嵐さんのコーナーをシリーズにしたいと思います。引き続き教育関係の取材レポートをお願いします。
by リス太郎 (2007-06-05 01:23) 

 五十嵐

 名古屋市民会館が中京大学文化市民会館になることで危惧されていたことが早くも現実となりました。本日付読売新聞は「来春の卒業式と入学式を同会館(市民会館)で開催する予定だった愛知大学は混乱を招く恐れがあるとして、名古屋市内の別の会場に変更した」と報道しています。公共施設に金の力で自分の大学の名前をつけてしまう事により、他の学校がその施設を利用できないようにしてしまう、こんな事が許されてよいのでしょうか。学校法人による公共施設の命名権取得は全国初との事。中京大学と名古屋市はなんとも罪作りなことをしてくれたものです。
by  五十嵐 (2007-06-05 22:31) 

リス太郎

五十嵐さんへ
当記事のアクセス数は現在377です。もう少し多くの人に読んでほしいですね。力不足で申し訳ありません。
新しくコーナーを作るので今後はそちらへコメント願います。今後もよろしく。
by リス太郎 (2007-06-07 00:01) 

リス太郎

mamoさん、遅くなりましたが、ナイス有難うございます。
by リス太郎 (2007-07-27 02:31) 

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