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違反柔道着に抗議しない日本柔道界

第25回世界柔道選手権大会が9月13日からリオデジャネイロで開催される。
日本代表選手団は今ごろ空の上のはずだ。
結果にばかりこだわらず胸のすく一本勝ちを期待したいのだが、ずっと気になっていることがある。
海外の選手に着用が広まっている違反柔道着だ。
襟を分厚くしたり袖を短くしたりして、相手にしっかり組まさない工夫がされている。
国際柔道連盟の規定に違反しているのだが、私が問題にしたいのは日本代表陣の対応である。

問題の柔道着を日本代表が認識したのは、6月末から行われた欧州各国との合同合宿。
欧州勢の柔道着は襟の厚みが2センチ以上あったり、袖が極端に短かったり、中には背中に幅広の芯を入れてたるみにくくしたものもあったという。
いずれもしっかり組んで技で勝負できないようにするための「工夫」だ。
だったら柔道着など最初から着ず、パンツ一丁でやればいい。
それは柔道ではなくレスリングだ。

柔道着というのは着物を着た相手と闘うことを想定して作られている。
現代においては日本でも着物を着て歩いている人など少ない。
柔道が実践的格闘技であり続けるためには、柔道着も洋服のようにしたほうがいい。
ただ、柔道着の襟の部分というのは、多くの男性が着る背広の襟と位置が同じである。
柔道で培われてきた技は現代における路上の格闘にも応用できる。
カナダのイヌイットとケンカするのでもない以上、違反柔道着は非合理である。

日本代表は違反を見抜くための定規採用を提案する一方、ミズノに違反柔道着の試作を依頼し、強化合宿で練習に採用したりしている。
これは違反柔道着を着用することを認めたも同然の行為である。
軍手をはめた練習も取り入れているとか。
斉藤仁監督は「(日本も外国も)お互いに必死ということ。勝つためには何でもやるしかない」と話す。

果たして斉藤監督はバカかお人よしか、あるいはその両方か?
しかしこういった思考・行動パターンは日本伝統の武士道精神に由来する。

私も柔道をやっていたのでわかるのだが、「卑怯」であることを極端に嫌う。
それは武道家として最も恥ずかしいこととされる。
柔道にかぎらず剣道などでも同じように教えられるはずだ。
私も卑怯なことが嫌いだが、問題は正当な主張をも「卑怯」のひと言でかたずける悪習である。
おかしいと思うなら徹底的に抗議せねば相手に伝わらないであろう。

こういったことはスポーツにかぎらず、あらゆる場面で日本人の行動様式として露呈する。
柔道のような伝統的武道においては如実に顕れる。
しかしそれは日本以外の人から見れば不可解以外の何物でもない。
何度も言うがおかしいと思うことは毅然とした態度で意思表示しなければ駄目だ。

まず改めるべきは日本柔道界上層部の干からびたアタマである。


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コメント 3

NO NAME

違反柔道着に対しては、日本は非常に一生懸命やっていると思います。
山下さんも、そのことで一生懸命やりすぎて、理事を落選したと聞いています。
by NO NAME (2008-06-12 13:16) 

日本柔道がんばれ!

卑怯を卑怯として抗議するのが国際的な行動様式だとすれば、
卑怯なことをも受け入れ、それをひっくるめて相手を圧倒するというのが日本の美学だと思います。
一本勝ちにこだわるのと同じ思考かな、という気がします。

by 日本柔道がんばれ! (2008-06-12 13:27) 

リス太郎

Beagle さん、infotop さん、frangipani さん、hirosugu さんへ
ナイス有難うございます。

つづり間違ってないよね?
by リス太郎 (2008-06-15 21:06) 

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