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『くっしゃみ講釈』と格闘する日々 (仕事せえよ) [大衆芸能]

落語を覚え出して昨日で1週間が経ちました。
電車の中でも歩いていても、風呂でも便所でも布団の中でもぶつぶつぶつぶつ。
「ネタ繰り」といって野球でいえば素振りのようなもの。
つまらずに繰れるようになったので、今日から本格的な稽古を始めています。

私が演るのは『くっしゃみ講釈』という上方の古典落語。
扇子と手ぬぐいで演るのが落語ですが、上方では演目によって見台と膝かくしと小拍子を使います。
この落語はそのほかに張り扇などというものも使う。

古典落語というと江戸時代がお話の舞台だと思いがち。
間違いではないのですが、上方の古典落語は江戸時代くささが希薄な感じがします。
明治大正期の噺家が「現代風」にアレンジしたのかもしれませんし、また、『くっしゃみ講釈』のようにどう考えても江戸時代の話ではない落語もあります。

この噺がいつごろ出来たのか私は知りません。
米朝師匠の著作を片っ端から当たればどっかに書いてあるかもしれません。
私はこの噺の時代設定を大正あたりに置いて考えています。

大正期以降に作られた落語は分類上「新作落語」と呼んでいるのですが、この噺は「古典落語」と認識されているようです。
しかし時代設定を昭和初期にもってきても、ちっともおかしくない噺ではあります。

とにかくなんとか落語を「覚えた」という状態にもってきはしました。
図書館で借りてきた米朝師匠のビデオを見、わざわざ買ってきた仁鶴師匠のCDを聴く。
枝雀師匠の速記本を読み、高校生のころ聴いた松之助師匠の高座を思い出す。
前座なので短くする必要があり、不必要なくだりは出来るだけ削る。
セリフは全て自分の言葉に直す。

しかし実際にある程度の声量で演じてみるとあちこちつっかかる。
盛り上げないといけないところでテンポよくいかない。
うまく間がとれない。

この1週間、集中的に練習したのは講釈師が講釈をとうとうと語るくだり。
「・・・四天王の面々には木村長門守重成、長曾我部宮内少輔秦元親、薄田隼人正紀兼相、後藤又兵衛基次、七手組番頭には伊藤丹後守、早水甲斐守らいずれも持ち口持ち口をまくばったりしが・・・」などと延々続く。

早口で3分ほどまくし立て、聞きほれてるアホにマサやんがつっこむ。
その後、講釈師がくしゃみをこらえながら講釈を続けるんですが、最後にはめちゃくちゃになってしまう。
ここはこの噺の最大の見せ場、聴かせどころであり、高度な演技力が必要なんですが、最初の堂々としたくだりが頼んないとぶち壊しになりかねない。
だんだん壊れていく講釈師が面白いんであって、最初から壊れてたらシャレになりませんわな。

最初はなかなか覚えられなくてイライラしました。
最初の3日間は悪戦苦闘で舌かみまくり。
出だしのほんの数行がどうしてもすらすら言えない。
でもそこをクリアすると後は早かったように思います。

講釈がくしゃみでめちゃくちゃになるくだりは、これからみっちり稽古し工夫を重ねなければなりません。
あと、アホが八百屋の店先でカラクリを語るくだり。
ここを誰よりも面白く演じたい。
(この噺、主人公の名前が不明。「アホ」としか呼びようがない)

八百屋のおっさんから胡椒の粉が品切れと聞いたアホ。
枝雀師匠は見台を抱えて真横にひっくり返るという林家三平師匠も真っ青な演出をしていました。
私はもちろんやりませんが、この噺は工夫次第でいくらでも面白くなります。
私は講釈師のくしゃみのくだりで、おそらく今まで誰もやったことのない演出を予定しています。

あと1ヶ月、どんな落語が出来上がるのか、期待と不安が入り混じっています。


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リス太郎

namako さんへ
ナイス有難うございます。
by リス太郎 (2008-02-11 15:29) 

namako

こんにちは。
こちらこそ、naice!
とコメントありがとうございます。
くっしゃみ講釈は大好きな話です。
のぞきカラクリのくだりは、アホっぽく
やるのが難しそうですね。
ご成功をお祈りいたします。
by namako (2008-02-11 16:30) 

リス太郎

namako さんへ
主人公の「アホ」をどう演じるか、くしゃみを連発する後藤一山をどう演じるか、よく考えたら難しい演目です。でもああでもないこうでもないと工夫するのは楽しいもんです。応援有難うございます。
by リス太郎 (2008-02-11 19:15) 

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