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2009年度行政書士試験受験記

11月8日(日)、全国各会場で行政書士試験が行われました。
私の受験会場は去年一昨年と同じ明治大学和泉キャンパス。
試験は午後1時から4時までの3時間で60問。
午後6時からは新宿エルタワーでLEC(東京リーガルマインド)の速報会を聴講しました。

LECの講師の先生も言ってたけど、確かに今年の問題は易しかった。
もちろんここ数年と比べての話だけど。
解答速報が資格学校によって分かれているのは問題2と問題3だけです。

記述式の3問について紹介します。

問題44は旅券の発給拒否処分に対し取消訴訟認容判決が出た場合の外務大臣の対応。
ポイントは「拘束力」という言葉。
取消訴訟の判決確定による効力のひとつ。
既判力、形成力、拘束力、対世的効力があり、「きいはん(京阪)、京成、高速、タイ製」と覚えます。

のっけから脱線して申し訳ないんだけど、とにかく語呂合わせで覚えてしまうのは効果的です。
頭の中にフックを作ってやれば、後からごちゃごちゃ出てきても混乱しない。
たとえば担保物権の通有性というのがあって、付従性、随伴性、不可分性、物上代位性があるんだけど、私の場合、「たんつぼのつゆ、ふずいふかぶつ」と覚えています。(汚いか?)

で、答えですが、LECでは以下のようになっています。
「取消判決の拘束力により、当該判決の趣旨に従い、改めて申請に対する処分をしなければならない。」

私の答えは、
「外務大臣は判決の拘束力により、判決の趣旨に従い、処分をやり直さねばならない。」

ちょっと短いけど許容範囲だと思います。

問題45は、会社(A)に金を貸した銀行(B)が信用保証協会(X)と信用保証の委託契約、同時にYと連帯保証契約、会社は弁済を怠り保証協会が銀行に代位弁済、「XはYに対しどのような権利についてどのような契約に基づきどのような請求をすることができるか」という問題。

出題の意図がよくわからなかったんですが、時間がなかったので特に気にもせず普通に答えました。
私の答えは、
「XはYに対し、代位弁済の求償権について、連帯保証契約に基づき債務の履行を請求できる。」。

LECの答えは以下のとおり。
「Aに対する求償権について、XY間の連帯保証契約に基づき、連帯保証債務の履行を請求できる。」。

「Aに対する」という言葉、「XY間の」という言葉が、私の解答では省略されています。
LECの講師の先生の説明では、「権利、契約の当事者が誰であるか」がポイントとのこと。

問題46はサービス問題。
なんですが、重大なミスを犯した。
民法177条(不動産に関する物件の変動の対抗要件)にいう「第三者」を判例はどのように解しているか。

これは明治41年の有名な判例で、法律を勉強している人なら誰でもソラで言える部分です。
LECの解答は、
「第三者とは、当事者及びその包括承継人以外の者で、登記の欠缺を主張する正当な利益を有する者」。

私の解答は、
「第三者とは物件の変動・得喪の登記の不存在を主張するにつき、正当な利益を有する者」。

実際の判例はどうなっているかというと、
「第三者とは当事者及びその包括承継人以外の者であって、不動産物件の得喪および変更の登記の欠缺を主張するにつき正当の利益を有する者」となっている。

「当事者及びその包括承継人以外の者」を書かなかったのは非常にまずい。
あと、「変更」を「変動」と書いたのも気になる。

「欠缺(けんけつ)」という言葉はわざと使いませんでした。
漢字が書けなかったわけではない。(「欠けつ」でも減点にはならないと思います)

法令の択一問題、一般知識についてもいろいろありますが、きりがないので紹介しません。
わかってたはずの問題をいくつか落としており、いまだに悔しい。
自己採点では何とか合格基準に達していますが、問題が易しかった場合、基準点を上げることもあります。
来年1月末の発表まで、何とも言えません。

人事を尽くして天命を待つ、でっか?
といって、ポケッと待ってるわけにもいかん。
合格基準に達した人も達しなかった人も、どちらにも言えるんですが、この1週間が大事。
この1週間、「終わった終わった」とのほほんとしてたら、立ち直るのに半年かかりまっせ。

いままで鬼のように勉強してきたんだし、ちょっとのんびりしたい、お酒も飲みに行きたい、と思います。
しかし生活のリズムを崩さないようにしなければなりません。
覚えるのは時間がかかるけど、忘れるのは驚くほど早い。
「民法162条?なんだっけ?」となりかねない。
(民法162条や192条なんかは暗誦すべし)

「今年はあかんかったけど来年また頑張るねん」という人はもちろん、合格確実な人もうかうかできません。
合格したなら次にやることがあるわけです。
どんどん先へ進みましょう。

最後に、これから行政書士試験に挑戦する人へアドバイスを。

まずは市販されている模試問題集を徹底的に活用することです。
参考書も大事ですが、参考書というのは基本知識と過去問に即した事項しか載っていない。
分厚い参考書を全部覚えても合格できないと思います。(参考書での勉強ももちろん大事)
前にも書いたけど、過去問は所詮過去問。(過去問をやらなくていいという意味ではない)
10社ぐらいから模試問題集が出てますから、来年受ける人は今すぐ本屋さんへ行くことをおすすめします。

「来年のが出てから」では遅いと断言できます。
記述式は全部カードにし、徹底的に覚える。
人に聞かれたら自分の言葉で答えられるよう理解を深める。(裁判官の言葉ではなく)

以前、「ノートは作ったほうがいいよ」と、今思えば当たり前の話をしたことがありますが、その後カードに切り替えました。
一長一短なんだけど、カードのほうが記憶の定着率が高い。
片面を穴埋めにし、裏面に答えを書く。
あるいは「争点訴訟を説明しろ」とか、「異議申し立ての決定を待たずに審査請求できる場合を3つ」とか。
資格学校によってはカードを作って受講生に配ったりしてるとこもあるらしい。(過保護)

記述式は少し大きめのカードで専用のを作る。
模試問題集だけで87問ありますから、これを全部覚えれば3問中1問ぐらいはヒットします。
記述式問題集も複数冊をあわせて活用することをおすすめします。
これで3問中2問。

あとの1問は日頃の勉強の仕方です。
マルペケではなく、常に記述式を意識した勉強をしているかが鍵。
模試問題集の解説を読みながら、「これが記述式で問われたらどうする?」と考える。
その場でカードを作って電車の中で覚えてしまうわけ。

模試問題集で勉強する時に気をつけたいのは、「条文・判例を必ずあたる」こと。
行政書士試験専用の判例付き六法は必携です。
模試問題集の解説には、根拠法令・判例が記載されているので、いちいち六法で確認する。
面倒ですが、知識がより正確になりますし、周辺知識もまとめて頭に入るので一石三鳥にも四鳥にもなります。

判例付き六法を持っていない人はすぐに買いに行ってください。
「2010年度版が出てから」では遅い。
私は2008年度版を使っています。(新しいの買えよ)

では、同志のみなさん、これからも頑張りましょう。

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コメント 4

ogacci

素晴らしい。今度民法教えてください。
by ogacci (2009-11-12 05:07) 

ゆゆ

尊敬。
by ゆゆ (2009-11-12 14:04) 

リス太郎

おがっち先生へ
なにゆうてまんねん。
『法と芸術』の改訂版、早く書いてください。
by リス太郎 (2010-01-09 22:11) 

リス太郎

ゆゆちゃんへ
尊敬なんてせんでええからゆゆちゃんも新しいこと始めえや。
by リス太郎 (2010-01-09 22:12) 

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