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第17回歴懇芸能部扇好亭一門会反省記 [大衆芸能]

昨日(10月2日)、雑司ヶ谷割烹大倉にて歴懇芸能会が無事開催されました。
私は中トリで『七度狐』という狐に化かされる噺を演じました。
妖怪ブームでちょうどいいやと思ってたんだけど、ドラマが終わってもた。
現在、ゲゲゲの女房をモチーフにした創作落語を考案中。(そんなことしてる場合か)

今回はほん弥師匠の社長ご就任ということで、タコやタイなど縁起のいいものを集めました。
最初はタコだけだったんだけど、数が集まらないという理由で、縁起のいいものならなんでもいいということになりました。
タコといえば明石やろうと張り切ってたんですが、ちょっと拍子抜け。
でも私はあくまで明石のタコにこだわりました。

別に愛社精神で明石に肩入れしてるわけではなく、私の育った町が明石海峡の近くだから。
垂水や明石の漁港は子どものころの遊び場。
大阪神戸出張の際、明石の魚の棚(地元では「うおんたな」と発音)へ寄りました。

11月に『在日コリアン辞典』という本を刊行するので、3日間かけて大阪神戸の書店さんをまわりました。
実際、たった3日で大阪と神戸をまわるなんて土台無理なんです。
でもなんとか許可をもらった貴重な3日間。
普段なかなか行けない生野周辺の書店や神戸の長田へも行った。
『在日コリアン辞典』の注文を取るだけで手一杯なんだけど、「既刊本の注文をなんで取らへんねん」と社長にどやされた。
あの人と仲よくするにはとにかく逆らわないこと。

さて、落語会ですが、ギター漫談あり、江戸上方の古典落語、うんち落語、宮沢賢治に智恵子抄と盛りだくさん。
ほん弥師匠はトリで『つる』を演じられました。

めちゃくちゃ忙しいはずなんだけどそういう素振りを全くされない。
『つる』という噺は簡単なようで実は難しい。
落語に必要な技術が凝縮された噺とも言われます。
十分に稽古する時間はおそらくなかったと思うんですが、実にいい出来でした。
間の取り方、後半の盛り上げ方、実力を見せつけられた気がしました。
『つる』なんて何度も聴いて聴き飽きてるはずなんですが、腹から笑った。

ほん弥師匠に比べれば私の忙しいなんてのはガキの遊びなんですが、まあ、それでも忙しい。
名古屋出張の前夜、2時間半かけて仁鶴師匠の音源からテープ起こし。
これを自分の言葉に直し、削ったり付け足したりの作業。
次の日、名古屋出張の新幹線の中で覚える。
名古屋に着く頃には全部頭に入った。

実はこの『七度狐』という噺、私の一番好きな噺のひとつで、今までさんざんいろんな人のを聴いてきた。
演じたのは昨日が初めてですが、大体頭に入ってて、自分の『七度狐』がある程度出来てた。

私が初めて上方落語を聴いたのは小学生のころ。
秋の日の日曜日の夕方、ラジオから流れてきたのは桂福団治師匠の『七度狐』。
大阪弁の落語があることを初めて知った。
私は福団治師匠の話術にすっかり引き込まれ、我を忘れたような気分になったのを覚えています。

ふと気がつくとあたりは真っ暗で、畳の上で死んだように眠る親父が手足をぴくぴくさせていた。
数年後、親父はイランイラク戦争勃発前夜のバグダッドに単身赴任し、それ以後、年に数回しか会ってません。

会が終わったあと、芸能部の仲間のおひとりから、「情景が目の前に広がるようだった」と言っていただき、実に嬉しかった。
この噺はバカバカしい小ギャグが盛りだくさんなんですが、噺の世界にお客さんを引きずり込むことで面白さが倍増する。
今回の高座のため可能なかぎりいろんな人の『七度狐』を集めて聴いてみたんですが、噺に引き込む話術では米朝師匠がダントツでうまい。
あと、文珍師匠が小佐田定雄さんの創作で、7回だまされる『平成版七度狐』をCDに収録しています。

マクラはタバコ値上げにヒントを得た小話と、こないだの吹田SAうんこもらし事件、あとM師匠(子ども店長)が「面白いからやれ」というサントリー堂山事件。
サントリー堂山事件で「だますだまされる」という話にもっていき、落語につなぎました。

『七度狐』は「東の旅」と呼ばれるシリーズの一部が独立したもので、以前ほん弥師匠が演じられた『煮売屋』の続きにあたります。
ちなみにこの「東の旅」、最後は『三十石夢の通い路』まで続く大河ドラマ(?)です。

『七度狐』に盛り込まれたバカバカしい小ギャグはもうひとつ笑いが弱かった。
間が悪かったのかもしれないし表現力が足りないのかもしれない。
一門会のお客さんに小手先のギャグが通用しにくいのは以前から気づいてて、ストーリー展開で笑いを増幅する落語本来の面白さ(喜劇やコントにもこの要素が大きい)をいかに表現できるかがポイント。

「ワラみたいなもんやないワラやて」
「ワラわしよんな」
ではシーンとしてしまい、「よめはんはここで大笑いするんですが」と言って窮地を逃れた。

お灯明に油と間違え醤油を注いでしまう場面では油と醤油を言い間違えた。
ネタバレしてしまったわけですが、ごまかさずに逆手に取って笑いに変えた。
ただ、内心ではかなりヒヤッとしました。
というのも、この後の「ねんねんよ~」で大爆笑を期待する重要な場面だったので。
なんとか持ち直しましたが終わって高座から下りると襦袢が汗でびっしょり。

落語の世界の古典的ギャグは覚えとくと日常生活で役に立ちます。(TPOさえわきまえれば)
今の芸人さんがテレビでやってるお笑いトークでは、古典的ギャグを応用したものがよく見受けられます。
ネタ自体は新しく作られたものですが、意識的か無意識か古典を応用している。
芸に悩んだときは古典を見直すべし。

創作落語に取り組みたいんですが、古典が面白すぎる。
鬼鬼鬼のゲ太郎の作者の奥さんの話(『鬼鬼鬼の女房』)は日の目を見ないかもしれません。

最近、東京の新作落語に注目してる。
立川志の輔師匠、柳家喬太郎師匠が面白い。

志の輔師匠は年に1回、渋谷パルコ劇場で独演会をやってる。
わうわうとかいうテレビで見れるらしく、よめはんの友達が録画して貸してくれる。
よめはんの話ではうちのテレビはわうわうが見れないらしい。

わうわう?
よくわからないのでよめはんに聞いた。

「松村邦洋か?」
「それはバウバウ」

おあとがよろしいようで。

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ゆゆ

お疲れちゃん

(´Д`)知ってるくせに<wowow
by ゆゆ (2010-10-03 22:26) 

リス太郎

ばうばう?
3時間ほど寝よ。
by リス太郎 (2010-10-06 02:18) 

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