フィリピンで離婚承認確定判決(Judicial Recognition of Foreign Divorce)を受ける前提での日本方式での再婚方法 [離婚歴のあるフィリピン国籍の方との結婚]
フィリピン人が外国で外国人と離婚した場合、フィリピンで離婚承認確定判決(Judicial Recognition of Foreign Divorce)を受けなければ再婚できません。この手続きはフィリピンの弁護士に頼まねばならないのですが、費用が高額で時間もかかるため、日本での在留期限に間に合わないなどの不都合が生じています。
当事務所にはこの問題で困っている方が数多くお越しになるのですが、判決を受けずに日本方式で婚姻が成立した事例がすでに国内で複数あるようなのでご報告いたします。
最初にお断わりしておきますが、個々の事例はどれも同じものはなく、同じ方法がすべてに通用するわけではありません。また、管轄の法務局の判断にもよります。また、婚姻が成立したからといって入国管理局で在留期間更新が許可されるという保証はどこにもありません。
尚、今回ご紹介する婚姻手続きの事例は私がサポートしたわけではありません。行政書士や弁護士などではない民事渉外実務に精通した業者がやられたようです。私はその婚姻届記載事項証明書を入手することで手法を学びました。
フィリピンで離婚承認確定判決を経てからでないとフィリピン大使館から「婚姻要件具備証明書」(外国人との外国での離婚者の場合は「証明書」)が発行されません。そのため市区町村の長に対し、「申述書」と婚姻要件を満たしていることを証明しうる資料を添えて婚姻届を提出します。この場合、「法務局預り」となり、その場では受理されません。管轄法務局の調査や、場合により当事者からの事情聴取などを経て、法務局が婚姻を認めていいと判断すれば提出日に遡って婚姻が受理され法的に成立します。
私の今までの経験から、離婚承認確定判決を経てからでないと申述書で法務局預りにしても受理される公算は低いだろうと考えていました。しかし現に受理されている事例があります。この方が作成された申述書の補足説明によると、今までに東京法務局管轄、千葉県松戸市、船橋市、埼玉、栃木、茨城、神奈川県全般、愛知、新潟県、北海道帯広市で受理の実績があるようです。
今回入手した婚姻届記載事項証明書から読み取れるそのやり方を以下にまとめます。
■
1.申述書のポイント
フィリピン大使館(領事館)で婚姻要件具備証明書又は証明書を取得できない理由を説明し、その上で代替書類として添付する書類の説明と、受理していただきたい事情の嘆願、離婚承認確定判決を可能な限り早期に得ることの宣誓。
2.補足説明のポイント
以下のフィリピン大使館ホームページURLを表示した上で、その内容を引用しながら離婚承認確定判決(Judicial Recognition of Foreign Divorce)が必要であることを丁寧に説明。
「婚姻届について」
日本語
http://tokyo.philembassy.net/ja/announcements/consularannouncements/advisory-on-report-of-marriage/
英語
http://tokyo.philembassy.net/announcements/consularannouncements/advisory-on-report-of-marriage/
「離婚認知裁判が確定したフィリピン国籍者の必要書類」
日本語
http://tokyo.philembassy.net/ja/consular-section/services/civil-registration/legal-capacity-to-contract-marriage-certification/divorced-filipino-with-phil-court-recognition/
英語
http://tokyo.philembassy.net/consular-section/services/civil-registration/legal-capacity-to-contract-marriage-certification/divorced-filipino-with-phil-court-recognition/
さらにフィリピン家族法26条を引用した上で婚姻要件を具備していることの説明。
3.添付資料
① 有効なパスポート(※国籍証明) 及び 身分事項欄の日本語訳
並びに 在留カード 又は 旧外国人登録証明書
② NSO(フィリピン国家統計局)発行の出生証明書(Certificate of Live Birth)
及び 日本語訳 ※成人である事実の証明
③ NSO(フィリピン国家統計局)発行の婚姻記録証明書(Advisory on Marriages)
及び 日本語訳 ※前夫等以外に婚姻歴がない事実の証明
④ 前夫等の戸籍謄本(場合によっては改製原戸籍謄本や除籍謄本)
※前夫等との離婚が正式に成立していることの証明
これらを添えて市区町村役場に婚姻届を提出します。ただしこれはあくまでも一例ですので、個々の事例に即して考えていく必要があります。
■
現在、この方の在留資格「日本人の配偶者等」の期間更新許可申請を東京入管に対し申請中ですが、入管は日本で婚姻が成立しているだけでなく本国でも有効な婚姻なのかどうかを重視します。法務局の厳格な調査を経て成立した婚姻であり、偽装結婚を疑われる余地も皆無だと思うのですが、それでもやはり心配です。日本国において有効に成立した婚姻であっても、それが必ずしもビザ(在留資格)につながるとは限らないからです。
しかしながら現に真摯な夫婦生活を営む夫婦を引き離すわけには断固としていきません。何度不許可になっても再申請します。できれば1回ですっと許可していただきたい。
こういったケースは単なる更新とは違いますので、入念な資料を揃えて申請せねばなりません。一から認定申請や変更申請をするのと同じかそれ以上の労力がいると考えてください。「質問書」も必ず付けてください。
私のところに持ち込まれる相談は実にさまざまです。婚姻の実態が完全に崩壊しているとはいえない場合には、離婚を早まらないようアドバイスします。しかしすでに別居して違うお相手と同棲している場合には悩むことになります。別居の事実とその経緯・事情を詳細に説明して更新許可申請をするのか、あるいは離婚を前提に「離婚定住」(告示外定住者)の可能性を探るのか。いずれにしても別居しているのに同居を装って申請することはやめてください。ろくな結果にならないと思います。
すでに離婚している方についてもそうですが、「離婚定住」が許可される公算が高ければ、まずは「告示外定住者」への変更を目指し、その上で離婚承認確定判決を受け、日本人や永住者、定住者などの方と結婚されるのもひとつの方法です。告示外とはいえ「定住者」なので、結婚が成立しても「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」などへ再変更する必要は必ずしもありません。
一番頭が痛いのは、日本人と離婚したフィリピン人のお相手がオーバーステイの場合です。子どもがもうすぐ小学校なのですが、何とかならないものか。今の状態では怖くて自主出頭もできない。離婚承認確定判決を将来的に受ける前提で婚姻届を提出したところで、警察に通報されてしまう恐れがある。オーバーステイは入管法違反ですが、建設現場などの労働力として日本社会に貢献してきたという側面もある。何とかならないものか。
最後にフィリピンでの離婚承認確定判決(Judicial Recognition of Foreign Divorce)についてですが、以下のフィリピン大使館サイトをご参考にしてください。
「外国離婚の承認裁判」
日本語
http://tokyo.philembassy.net/ja/consular-section/services/civil-registration/judicial-recognition-of-foreign-divorce/
英語
http://tokyo.philembassy.net/consular-section/services/civil-registration/judicial-recognition-of-foreign-divorce/
「注意」の項にある「日本国内で作成、発行された書類」についてはフィリピンの弁護士の指示に従ってください。離婚届受理証明書や(離婚の事実が記載された)戸籍謄本、場合によっては離婚届記載事項証明書も必要かもしれません(離婚届受理証明書だけでいいかもしれません)。
「日本行政2013年3月号」には、「管轄裁判所に提出する証拠書類は全て日本側で公印確認及び翻訳証明を得た上、在日本フィリピン共和国大使館領事部等で認証を受けたものが必要」とあります。公印確認はわかるのですが、「日本側で」「翻訳証明」を得る必要があるのでしょうか。公証役場で翻訳者が宣誓認証を受けねばならないのでしょうか。治外法権によるフィリピン大使館・領事館の公証ではダメなのでしょうか。戸籍謄本等を外務省で公印確認し、英訳を付けてフィリピン大使館・領事館に行けばいいのではないでしょうか。
ご参考まで
http://english--translation.com/philippines/index.htm
このサイトでは「登記簿謄本など日本の法務省の管轄下で作成された公的書類」とありますが、戸籍謄本などもこれに該当します(法務省所管の法定受託事務)。「法務局で登記官押印証明」が必要とありますが、いらない気がします。なぜなら今まで、そんなことせずに通用していたので。外務省の公印確認も、本当に必要なのかと疑っています。とにかく現地フィリピンの弁護士の指示に従い、必要であればすればいいだけのことです。
余談ですがこのサイトのフィリピン大使館に関する情報はかなり古いと思います。現在、フィリピン大使館に一般人が使えるコピー機はありません。
日本人と離婚したけど引き続き日本に滞在したい、日本人と離婚して違う日本人や同国人、その他の国の人と結婚したい、そのような方々の相談は「しのはら行政書士事務所」まで。相談は完全に無料です。
http://shinohara-visaoffice.com/
当事務所にはこの問題で困っている方が数多くお越しになるのですが、判決を受けずに日本方式で婚姻が成立した事例がすでに国内で複数あるようなのでご報告いたします。
最初にお断わりしておきますが、個々の事例はどれも同じものはなく、同じ方法がすべてに通用するわけではありません。また、管轄の法務局の判断にもよります。また、婚姻が成立したからといって入国管理局で在留期間更新が許可されるという保証はどこにもありません。
尚、今回ご紹介する婚姻手続きの事例は私がサポートしたわけではありません。行政書士や弁護士などではない民事渉外実務に精通した業者がやられたようです。私はその婚姻届記載事項証明書を入手することで手法を学びました。
フィリピンで離婚承認確定判決を経てからでないとフィリピン大使館から「婚姻要件具備証明書」(外国人との外国での離婚者の場合は「証明書」)が発行されません。そのため市区町村の長に対し、「申述書」と婚姻要件を満たしていることを証明しうる資料を添えて婚姻届を提出します。この場合、「法務局預り」となり、その場では受理されません。管轄法務局の調査や、場合により当事者からの事情聴取などを経て、法務局が婚姻を認めていいと判断すれば提出日に遡って婚姻が受理され法的に成立します。
私の今までの経験から、離婚承認確定判決を経てからでないと申述書で法務局預りにしても受理される公算は低いだろうと考えていました。しかし現に受理されている事例があります。この方が作成された申述書の補足説明によると、今までに東京法務局管轄、千葉県松戸市、船橋市、埼玉、栃木、茨城、神奈川県全般、愛知、新潟県、北海道帯広市で受理の実績があるようです。
今回入手した婚姻届記載事項証明書から読み取れるそのやり方を以下にまとめます。
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1.申述書のポイント
フィリピン大使館(領事館)で婚姻要件具備証明書又は証明書を取得できない理由を説明し、その上で代替書類として添付する書類の説明と、受理していただきたい事情の嘆願、離婚承認確定判決を可能な限り早期に得ることの宣誓。
2.補足説明のポイント
以下のフィリピン大使館ホームページURLを表示した上で、その内容を引用しながら離婚承認確定判決(Judicial Recognition of Foreign Divorce)が必要であることを丁寧に説明。
「婚姻届について」
日本語
http://tokyo.philembassy.net/ja/announcements/consularannouncements/advisory-on-report-of-marriage/
英語
http://tokyo.philembassy.net/announcements/consularannouncements/advisory-on-report-of-marriage/
「離婚認知裁判が確定したフィリピン国籍者の必要書類」
日本語
http://tokyo.philembassy.net/ja/consular-section/services/civil-registration/legal-capacity-to-contract-marriage-certification/divorced-filipino-with-phil-court-recognition/
英語
http://tokyo.philembassy.net/consular-section/services/civil-registration/legal-capacity-to-contract-marriage-certification/divorced-filipino-with-phil-court-recognition/
さらにフィリピン家族法26条を引用した上で婚姻要件を具備していることの説明。
3.添付資料
① 有効なパスポート(※国籍証明) 及び 身分事項欄の日本語訳
並びに 在留カード 又は 旧外国人登録証明書
② NSO(フィリピン国家統計局)発行の出生証明書(Certificate of Live Birth)
及び 日本語訳 ※成人である事実の証明
③ NSO(フィリピン国家統計局)発行の婚姻記録証明書(Advisory on Marriages)
及び 日本語訳 ※前夫等以外に婚姻歴がない事実の証明
④ 前夫等の戸籍謄本(場合によっては改製原戸籍謄本や除籍謄本)
※前夫等との離婚が正式に成立していることの証明
これらを添えて市区町村役場に婚姻届を提出します。ただしこれはあくまでも一例ですので、個々の事例に即して考えていく必要があります。
■
現在、この方の在留資格「日本人の配偶者等」の期間更新許可申請を東京入管に対し申請中ですが、入管は日本で婚姻が成立しているだけでなく本国でも有効な婚姻なのかどうかを重視します。法務局の厳格な調査を経て成立した婚姻であり、偽装結婚を疑われる余地も皆無だと思うのですが、それでもやはり心配です。日本国において有効に成立した婚姻であっても、それが必ずしもビザ(在留資格)につながるとは限らないからです。
しかしながら現に真摯な夫婦生活を営む夫婦を引き離すわけには断固としていきません。何度不許可になっても再申請します。できれば1回ですっと許可していただきたい。
こういったケースは単なる更新とは違いますので、入念な資料を揃えて申請せねばなりません。一から認定申請や変更申請をするのと同じかそれ以上の労力がいると考えてください。「質問書」も必ず付けてください。
私のところに持ち込まれる相談は実にさまざまです。婚姻の実態が完全に崩壊しているとはいえない場合には、離婚を早まらないようアドバイスします。しかしすでに別居して違うお相手と同棲している場合には悩むことになります。別居の事実とその経緯・事情を詳細に説明して更新許可申請をするのか、あるいは離婚を前提に「離婚定住」(告示外定住者)の可能性を探るのか。いずれにしても別居しているのに同居を装って申請することはやめてください。ろくな結果にならないと思います。
すでに離婚している方についてもそうですが、「離婚定住」が許可される公算が高ければ、まずは「告示外定住者」への変更を目指し、その上で離婚承認確定判決を受け、日本人や永住者、定住者などの方と結婚されるのもひとつの方法です。告示外とはいえ「定住者」なので、結婚が成立しても「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」などへ再変更する必要は必ずしもありません。
一番頭が痛いのは、日本人と離婚したフィリピン人のお相手がオーバーステイの場合です。子どもがもうすぐ小学校なのですが、何とかならないものか。今の状態では怖くて自主出頭もできない。離婚承認確定判決を将来的に受ける前提で婚姻届を提出したところで、警察に通報されてしまう恐れがある。オーバーステイは入管法違反ですが、建設現場などの労働力として日本社会に貢献してきたという側面もある。何とかならないものか。
最後にフィリピンでの離婚承認確定判決(Judicial Recognition of Foreign Divorce)についてですが、以下のフィリピン大使館サイトをご参考にしてください。
「外国離婚の承認裁判」
日本語
http://tokyo.philembassy.net/ja/consular-section/services/civil-registration/judicial-recognition-of-foreign-divorce/
英語
http://tokyo.philembassy.net/consular-section/services/civil-registration/judicial-recognition-of-foreign-divorce/
「注意」の項にある「日本国内で作成、発行された書類」についてはフィリピンの弁護士の指示に従ってください。離婚届受理証明書や(離婚の事実が記載された)戸籍謄本、場合によっては離婚届記載事項証明書も必要かもしれません(離婚届受理証明書だけでいいかもしれません)。
「日本行政2013年3月号」には、「管轄裁判所に提出する証拠書類は全て日本側で公印確認及び翻訳証明を得た上、在日本フィリピン共和国大使館領事部等で認証を受けたものが必要」とあります。公印確認はわかるのですが、「日本側で」「翻訳証明」を得る必要があるのでしょうか。公証役場で翻訳者が宣誓認証を受けねばならないのでしょうか。治外法権によるフィリピン大使館・領事館の公証ではダメなのでしょうか。戸籍謄本等を外務省で公印確認し、英訳を付けてフィリピン大使館・領事館に行けばいいのではないでしょうか。
ご参考まで
http://english--translation.com/philippines/index.htm
このサイトでは「登記簿謄本など日本の法務省の管轄下で作成された公的書類」とありますが、戸籍謄本などもこれに該当します(法務省所管の法定受託事務)。「法務局で登記官押印証明」が必要とありますが、いらない気がします。なぜなら今まで、そんなことせずに通用していたので。外務省の公印確認も、本当に必要なのかと疑っています。とにかく現地フィリピンの弁護士の指示に従い、必要であればすればいいだけのことです。
余談ですがこのサイトのフィリピン大使館に関する情報はかなり古いと思います。現在、フィリピン大使館に一般人が使えるコピー機はありません。
日本人と離婚したけど引き続き日本に滞在したい、日本人と離婚して違う日本人や同国人、その他の国の人と結婚したい、そのような方々の相談は「しのはら行政書士事務所」まで。相談は完全に無料です。
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2013-09-16 14:12
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フィリピン家族法14条 親の同意等
前婚によって親権解除がなされていない、つまり初婚の場合、18歳以上21歳未満のフィリピン人当事者は「父・母・存命の親もしくは後見人・法的責任者」の「順に」「同意書」が必要。父が存命であれば「父の同意書」が必要。
フィリピン家族法15条 親の助言等
21歳以上25歳未満のフィリピン人当事者は「父母」または「後見人」の「助言」が必要。父母がともに存命であれば「父母両方の助言」が必要。
今回の当事者は24歳で父母はフィリピンでご存命なのですが、婚姻届記載事項証明書の添付資料に「父母の助言」を証明する資料はありません。前婚により親権解除がなされているので必要ないのだと思いますが、15条には「前婚によって親権解除がなされておらず」という文面がありません。
by リス太郎 (2013-09-16 14:48)
「前婚による親権解除」は原文では「emancipated by a previous marriage」です。どう解釈していいのか難しい表現に思いますが、「親権解除」と訳すのが日本語として妥当なのでしょう。念のためですがフィリピンでは18歳で成人し選挙権もあります。
by リス太郎 (2013-09-17 10:27)
「フィリピン人女性は離婚したら300日は再婚できないんでしょう?」という質問をよく受けます。これはフィリピン民法84条で、「夫の死から300日経たないと婚姻許可証を発行しない。ただし子どもが生まれたら別」と定められていることを指しています。難しいところですが、『フィリピン家族法・第2版』19頁で訳者の奥田先生が解説されておられる文面を引用します。
「フィリピン法において奇妙に思われるのは、前婚の解消(配偶者の死亡、婚姻の取消や無効確認)から300日以内に再婚した女性は、刑法上は懲役・罰金刑が科せられるのに対して、家族法上は、そのような再婚が有効とされていることである。すなわち、刑法上は再婚禁止期間があるのに対して、家族法上は再婚禁止期間がない」
(『フィリピン家族法・第2版』19頁より引用)
by リス太郎 (2013-09-17 11:07)
フィリピンで離婚承認確定判決を受けるのに1年はかかると思われるので、日本民法の待婚期間(6ヶ月)を経て婚姻届を出してもいいと思います。フィリピンでの婚姻の有効性はさらに半年後になるわけですから、その頃にはフィリピン民法84条の規定もクリアされているでしょう。法務局の判断に委ねるしかありません。
もっとも、不受理になるリスクもあるので慎重にすべきです。私ももっと調査しないといけません。そして、日本での在留資格がちゃんとくっついてくるのか、ということも念頭に。
by リス太郎 (2013-09-17 11:19)
法の適用に関する通則法42条では、「外国法によるべき場合において、その規定の適用が公の秩序又は善良の風俗に反するときは、これを適用しない」と定めています。離婚を認めないフィリピン法を日本で適用していいのかという議論もあります。
私の考えは、それはそれで尊重すべきであるが、法務局は事情を十分に斟酌し、日本法に則り適切な判断をしてほしいということです。そして日本で法的に成立し夫婦生活の実態がある案件に対しては、入管局は「相当性」を認めてほしい。フィリピンにおいて婚姻が成立していないことのみをもって、不許可にするという処分をしないでほしいと思います。
by リス太郎 (2013-09-17 11:34)
先日、ある行政書士の先生から、日本在留のバングラデシュ人夫婦と養子縁組したバングラデシュ国籍の乳児の在留資格「家族滞在」が不交付になったとお聞きしました。育てる親がいないから養子にしたと思うのですが、バングラデシュは宗教上の理由(イスラム法)で養子の概念がなく、「監護権の付与」という形で養子縁組しているため、入管は「里子」とみなし不交付としたようです。
果たしてこれは、通則法42条からみてどうなのか。
この先生が入管に対し提出した意見書の要点は次の3点です。
1.通念上は日本の養子制度と同じであり、日本ではイスラム法を公序則で排除し養子として認めた家裁の審判例もある。
2.児童の権利に関する条約の批准国としての義務に反している。
3.バングラデシュの出生証明書には養親が実親として記載されており(注:フィリピンもそうです)、入管はその逐一を養子かどうかチェックしきれていない。すり抜けて許可を得ている場合もあり、法の適用が不公平である。
徹底的に闘ってほしいと思います。
by リス太郎 (2013-09-17 12:21)
家裁の審判例は「東京家審平成7年11月20日」(ジュリスト1140号150頁)のようです。
by リス太郎 (2013-09-17 12:34)
リス太郎さま。はじめまして。
横浜に住んでいるあさみと申します。
すみません質問させてください。
私の友人のフィリピン人女性で、離婚暦あり方が日本人と再婚したいと思っているのですが、
1.永住者なので、ビザの変更がいらないということでよろしいでしょうか?
2.ビザの変更がいらないということは、「離婚承認確定判決を可能な限り早期に得ることの宣誓」はしても、報告の義務がないため、実際には得なくてもいいということでしょうか?
3.そもそも彼女の離婚は10年以上前です。(現在52歳)このような場合でも離婚承認確定判決がひつようなんですよね?不思議
私の周りのフィリピン人女性、この件ですごく困っています。好きな人がいるのに結婚ができない、情報が少なすぎると思います。
何とかならないでしょうかねー。
by あさみ (2014-03-21 12:38)
あさみさんへ
ご質問を有難うございます。
1.永住権があれば内縁状態で平穏に日本で暮らせます。
2.宣誓して法務局預りとなり遡って婚姻が受理された場合、日本では正式に夫婦です。しかし判決を早期に得る努力はすべきと思います。嘘の宣誓となる事例が多発すれば、法務局は一切認めなくなるのではと心配します。
3.10年以上前でも必要です。
私のまわりにも困ってる方が大勢おられます。試行錯誤しながら一緒に解決策を探していくようにしています。
尚、自分が当事者であったと仮定した個人的な意見ですが、永住権があるなら内縁でいいとも言えます。婚外子相続差別も撤廃されましたし。
この仕事をしてると、いろんな家族の形、あり方があることに気づかされます。多様性を認め、差別をなくしていくことで時代にあった進歩的な社会が形成されるのだと思います。
by リス太郎 (2014-03-21 21:31)
じゅんじゅんさんへ
ご来店ありがとうございます。
by リス太郎 (2014-03-21 21:32)
お忙しいところ回答ありがとうございます。
よく理解しました。
このフィリピン人の女性、10年以上内縁状態が続いていて、相手の日本人はお子さんがいないので、どうせ他の兄弟が相続するならあなたに相続してほしい、、、早くしないと死んでしまうよ、と最近言われるのだそうです。自分の最後を彼女にみとってほしいんだそうで。何か他の解決法(と言っても後は養子縁組しか思いつかないのですが)
リス太郎さまの外国人に対する思いがひしひしと伝わりました。
お仕事がんばってください!
by あさみ (2014-03-22 00:48)
あさみさんへ
遺言書を作成しとけばいいんですよ。ご兄弟の方々には遺留分減殺請求権(法定相続分の2分の1)がありますが、事実婚である愛する「妻」に遺産の半分を相続させることが可能です。遺言書は行政書士などの専門家に作成してもらったほうが確実です。
私は依頼する気のない相談にも無料で快く対応しています。着手金も取りません。申請が受理されてから経費分としていくらかいただき、許可や交付が出てから成功報酬を分割で払ってもらってます。この方法だと我々同様の一般人でも専門家に依頼しやすいわけです。あと、どんな難しい案件、何度も不許可・不交付になった案件でも、出来る限り通常価格で引き受けるようにしています。
by リス太郎 (2014-03-22 21:14)