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『まんが日本で暮らす外国人』「はじめに」のボツ案 [外国人問題]

以下の長ったらしい文章、ざっとでも読んで私の漫画台本を書く意義を感じ取ってもらえれば幸いです。この原稿、すでにアニマルボイス先輩に送っているのですが、忙しいのかアホらしくて読む気がしないのか、「そんなのあったけ?」と得意のボケをかましています。いずれにせよ私はこれをボツにするつもりで、もっと親しみやすい文体にするつもりです。でもせっかく書いたのでブログで紹介します。

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 私は行政書士になってちょうど十年になります。その間、一貫して外国人に係わる仕事をしてきました。外国人に係わる仕事をする行政書士に対しては批判も多いです。批判には二点あると思います。
 まず一点は日本の法律を知らない外国人を騙して、あるいはブローカーと組んで虚偽の申請をして在留資格(以下、「ビザ」といいます)を取る不正な行政書士が少なくないことです。そしてもう一点はゼノフォビアに基づくもの、つまり外国人に対する嫌悪感から来る行政書士への偏見です。前者は言わずもがなで廃業してもらうしかないのですが、後者についてもう少しよく考えてみたいと思います。
 「外国人が嫌い」という人の理由はおそらく、「なにしゃべってるのかわからなくて怖い」、「夜中に騒いでうるさい」、「ゴミ出しなど地域のルールを守らない」、「生理的に嫌」、「日本のルール・マナーを守らない」、などなど、挙げだしたらきりがないでしょう。
 しかし「なにしゃべってるかわからない」のはあなたが外国に住んだ場合も同じであり、「生理的に嫌」というのは人種差別につながる重大な差別発言です。ルールやマナーを守らないというのも人それぞれで、日本人と外国人を比較して、どっちがルールやマナーを守らないかは微妙な気がします。
 「外国人が増えると犯罪が増え治安が乱れる」ともよく言われます。これは警視庁の発表する「犯罪率」が入管法違反を含めているためそのような統計となります。刑法違反のみに限った場合、日本人のほうが、犯罪率が高いという報告もあります。
 私は「外国人が嫌い」という人の気持ちもわかります。私たちの商売はただ日本に暮らす外国人の権利を守るだけでなく、義務の履行を促すこと、法令を遵守してもらうことも含まれます。互いに親しくなる場合が多いのですが、「この野郎!」と思うこともしばしばです。
 違法と知りながらビザ取得を求めてきたりする人もいます。不法に外国人を就労さそうとする雇用主も多いです。これは日本人の場合と外国人の場合と両方あります。「外国人の人権を守る」ために事務所を立ち上げた私はもともと日本に暮らす外国人に好意を持っていたのですが、反対の立場を主張する人の気持ちもわかるようになりました。
 今、日本に暮らすビザをもつ外国人は三百万人に近づいています。比率は約二・二五%と年々、増え続けています。そんなに外国人を呼んできて日本が乗っ取られると感じる人も多いでしょう。しかしこの約二・二五%という比率は諸外国と比して圧倒的に少ないのです。少ないからいけないというわけではありません。適正人数を活動目的に合わせて受け入れていく必要があるのです。
 今、何故こんなに外国人が増えているかおわかりでしょうか。日本の人材不足が原因です。だから技能実習生が大挙してやってくるのです。主に会社員が必要とする「技術・人文知識・国際業務」ビザも不法就労の隠れ蓑となっています。そして日系人。これも日本の重要な労働力です。みんな最低賃金ぎりぎりで日本で働いています。彼ら彼女らはそれを望んでいます。しかし受け入れる日本側も彼ら彼女らを必要としているのです。行政・メディアは「単純労働」と言います。
 日本のもうひとつの狙いは「高度専門職」や「技術・人文知識・国際業務」の外国人(隠れ蓑ではない)を増やしていくことだと思います。そういうやり方で国際化していく。その一方、低賃金の労働者も景気状況を見つつ受け入れていこうとしています。これには労働者をモノ扱いしているという批判があります。
 いずれにせよ日本に暮らす外国人はますます増えていくでしょう。ここで文化や慣習の違う外国人とどう付き合っていくのかという問題が生じます。
 多文化共生という言葉があります。いろんな文化の違う人々がお互いの文化を受け入れ合い、共に生きて行こうという考え方です。非常に崇高な理念です。これからの時代、多文化共生社会を実現せねばならないのです。これは単に日本人が外国人に合わせろという話ではありません。外国人側も日本の文化に合わせてもらわねば困ります。そうでなければ外国人に対する偏見はなくなりません。そのために私はこの漫画を企画しました。
 日本の為政者は「我が国は移民を認めない国ですから」とよく言います。しかし一年以上のビザをもっている人は移民です。
 私はあなたが日本に暮らす外国人に関心をもっているか、無関心か、嫌悪感をもっているかに係らず、この本を手に取ってくださったことに感謝します。法律上の難しい話はできるだけしません。日本に暮らす外国人たちの実態を〇〇先生の素晴らしい絵で漫画に仕立ててもらいました。
 まあ、とにかく楽しく気軽に笑いながら読んでださい。「へえ~」と思うことも多いと思いますよ。

西郷隆盛像(上野).jpg

西郷どん(アニマルボイス先輩撮影)

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