SSブログ

李さんが不法就労助長罪で捕まった話 [外国人問題]

例のオーバーステイ40年超のパクさんから電話があり横浜市内の喫茶店に行きました。もう10年ぐらい前の話です。そこで70才ぐらいの金本さん(仮名)という韓国籍の特別永住者の男性と、40才ぐらいの李さん(仮名)という韓国籍で永住者の女性と会いました。

金本さんは川崎でラブホテルを経営しており、李さんの愛人です。金本さんには妻子があります。事件の筋書きはこうです。

李さんがチーママとして補佐する韓国クラブでは留学生の韓国人ホステスを大勢やとっていました。ここに神奈川県警のガサ入れがありホステスもろとも警察署で取り調べを受けることになりました。留学生のホステスは収容され退去強制となりましたが(留学ビザ・家族滞在ビザにおける資格外活動許可は風営店等での就労が禁じられている)、チーママの李さんについては在宅調査となりました。

争点は「チーママ」である李さんが経営責任者といえるかという点であり、店の名義は日本人でした。この日本人についてはおとがめなしでした。

本来なら李さんは経営者ではないのだから不法就労助長罪には当てはまらないと考えるのが普通です。しかし日本人経営者ではなく外国人が罪をかぶらねばならないのが一般的です。実質的責任者だと捉えられるのです。

愛人の金本さんは「金はいくらでも積むから李が引き続き日本で暮らせるようにしてくれ」と私に頼んできました。早速、経緯報告書や嘆願書を作るため聞き取りを始めました。なんという駅か忘れてしまい、駅前の風景と韓国クラブばかりが立ち並ぶ異様な光景は覚えているのですが、その駅の喫茶店に何度も通いました。

李さんはしょっちゅう横浜入管に出頭し、調査が続きます。そして口頭審理となります。口頭審理というのはそれまで調査聞き取りしてきた内容を調書にまとめ法務大臣に提出する文書を作成するための最終審理です。立会人には私がなりました。通訳を必ず付けねばならないことが入管法で定められています。

立会人に私のような行政書士がなる場合、弁護士と違い弁護ができません。役目は調書を作成する過程において恫喝したり本人が主張していないことを書いたりしないよう見張ることです。朝9時から昼休憩をはさみ夕方5時、場合によっては7時8時までかかります。

口頭審理を取り仕切るのは特別審理官という上級審査官です。何か口を挟もうとすると「弁護士法に違反するつもりですか!」と厳しく叱咤されます。これを私は「猿ぐつわされた達磨」と呼んでいます。

しかしこのときの特別審理官はだまってボケっとしてる私に「篠原さんはどう思われますか」と聞いてきました。びっくりして「しゃべっていいんですか」とお聞きすると「はい」と。「李さんはオーナーじゃないし罰するなら日本人のヤクザでしょう」と。

結局、李さんは永住取消にはなりましたが定住者1年ビザをいただき、引き続き金本さんと幸せに日本で暮らせるようになりました。決め手は身元保証人である金本さんの経済力だと思います。

nice!(2)  コメント(2) 

nice! 2

コメント 2

リス太郎

李さんはトリマーになるための学校に通い出しました。学費は金本さんが出しました。ペットが好きなようです。しかし長続きせず、更新を3年ほどやったあと、「韓国でクラブをやる」と韓国へ帰ってしまいました。
by リス太郎 (2024-11-04 13:05) 

リス太郎

埼玉県の年配の行政書士からメールで相談がありました。不法就労助長罪の中国人女性です。私はアドバイスしましたが、本人に反省の気持ちがほとんどないらしく、永住を取り消され退去強制になってしまいました。
by リス太郎 (2024-11-04 13:08) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。