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夜回り先生 闘いつづける男の眼差し

昨日の4月7日、神奈川県の海老名市文化会館で集会がありました。
子どもの自立支援を目的としたNPO法人である「子どもセンターてんぽ」によるシェルター開所を記念し、「夜回り先生」として活躍する水谷修さんの講演とシンポジウムが催されました。
私が勤める出版社では都内などにシェルターを提供しており、また社長自身、里子を積極的に受け入れるなどしています。
私はシンポジウムも聴講したいし、水谷先生も来るというので早くから参加を希望していました。

うちの会社の場合、土日に集会学会販売が全くない週というのはあまりありません。
誰かがどっかへ行ってる。
今週は私はあくまでもプライベートで参加するつもりだったんです。
だから朝はゆっくり寝て昼過ぎに行けばいいなって・・・
それがいつの間にか販売員のリストに入れられてた。

朝8時半の電車に乗って会場に着いたのが10時半。
昨夜は深夜まで飲んでた。
さすがに4人もいると準備も早い。
通常はひとりでみんなやるんだけど。

午後1時の開場まで時間がある。
ひとりならゆっくり読書するんだけど、新入社員がいるからあれこれ教える。
3回に1回は冗談を飛ばす。
あんまりやると友達みたいに思いやがるからときどき怒鳴る。
この男、怒られてもシュンとならないとこが気に入ってる。

児童虐待などで親といっしょに暮らせない子どもたち。
残念なことに近年、日本でも増える一方だそうです。
子どものためのシェルターは公的な制度ではありません。
そのため会員の年会費や一般も含めた寄付で運営されています。
私も恥ずかしい金額ですが寄付をしました。

またこういった問題に取り組む弁護士の先生たち。
経済的に弱いもののために働くことは収入になりません。
もっと儲かる仕事はいくらでもあるのに見向きもしない。
頭が下がる思いです。

一定の収入のある者は収入に応じて社会に還元する義務があります。
自分の時間を提供できないなら金でそれに換えるべきだと思います。
それをせずして社会人としての責任を果たしているとはとても言えません。
私があっちこっちでちょこちょこ小銭を寄付しているのは責任を果たしたいからです。
いいことしてるなどとはこれっぽっちも思っていません。

水谷先生の講演が始まりました。
本を販売しているロビーにもマイクから声が聴こえてきます。
テレビや本で聞いたり読んだりした話が中心ですが、地域を題材にした新しい話もありました。
小田急沿線は新宿とつながっているため薬物の流入が深刻なようです。

以前、当ブログにて先生の著作『あした笑顔になあれ』(日本評論社)を紹介したことがあります。
私の記事を読んで本を購入し読んでくれた人もいます。
そのときも書いたのですが、水谷先生のおっしゃることは私が普段言っていることと非常に近い。
全く一緒だと言っても私のほうは差し支えありません。
表現の仕方が違うだけで言いたいことは同じだと思っています。
ただ、睡眠時間をけずって「夜回り」を続ける水谷先生と、何も行動しない私とでは月とスッポンですが。

講演とシンポジウムが終わった午後5時。
隣りの日本評論社とサンクチュアリ出版、高文研の書籍売場では水谷先生のサイン会が始まります。
うらやましそうに指をくわえて見ている私の右後方にカツカツと聞こえてくる足音。
水谷先生でした。
軽く会釈すると大股で歩きながら大きく頭を下げられた。
そのとき先生は私の目を鋭い目線で見てくれました。

サイン会は大盛況。
黒山の人だかりでした。
しかしこっちも負けてられません。
こっちだって今日のシンポジストの坪井節子さん(カリヨン子どもセンター理事長・弁護士)の本を売ってます。
サイン本かかえたお客さんを取り込もうと必死です。

サイン会は終わり、私たちも片付けに取り掛かります。
そうしながらも水谷先生を横目で観察しつづける私。
サンクチュアリの女性社員に、
「そのパジャマみたいな服、なんとかならんのか」
冗談を飛ばす水谷先生。

水谷先生がお帰りになるとき、先生はまた私の目に強い視線をくれました。
他にも人は何人もいたのですが、明らかに私の目を見てくれた。
それは思い込みや気のせいではなく、明らかに私の目に向けられていました。

『夜回り先生のねがい』   夜回り先生が痛みとともにつづった、渾身の最終章
水谷修 著   定価 1,470円   サンクチュアリ出版 発行
2007年4月20日発売

今の日本には、心に余裕のない大人がたくさんいます。余裕がないからこそ、より弱い立場である子どもたちを追いつめてしまう。もちろん、本当にひどい大人もたくさんいます。でもそれ以上に多くの大人が、自分の過去に苦しみ、悩み、なんとか罪をつぐなおうと必死になっている。
そういう大人たちが本来もっているはずの優しさも、もっと子どもたちに伝えていくべきだったんじゃないかと、今では悔やんでいます。私は夜回り、死ぬまで続けます。
しかしこの本は、夜回り先生として最後の1冊にしたいと思います。
                                           (夜回り先生 水谷修)


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コメント 13

もん

リスさんが、どの部分を掘り下げて訴えたかったのか、全体が分散して、いまいち伝わりにくくて勿体ない。次回に期待。
by もん (2007-04-09 20:42) 

世の中 時間に追われる親がどんどん増えているという気が
一見のんびりとしているように見えるキャンベラにいてさえ 感じます
ここでも当たり前のように両親とも働いている家庭が多いのですが
近所の学校では「宿題を出すな」と先生に訴えてる親が増えているそうです
そんなもの見てる時間がないからだそうです
コドモと触れあう時間が 成長を見守る時間が 
日々の生活の追われてどんどん少なくなっている
新入社員の方じゃありませんが 生活の豊かさ便利さとひきかえに 
自分のことしか考えられない 自分のことで精一杯な人たち
親の世代になっている彼らのコドモは どんな人生を送るのでしょうか 
by (2007-04-09 22:53) 

リス太郎

もんちゃんへ
じゃあ、夜回り先生の本でも読んで読書感想文でも書きますかね。
by リス太郎 (2007-04-11 23:24) 

リス太郎

mompeli さんへ
そうですよね、みんな自分のことで手一杯。あるいは家族のこと。世界は広いのにね。
by リス太郎 (2007-04-11 23:27) 

もん

うん。是非そうして。家族や兄さんの放課後クラブ活動は全部説明してないあたりが味だけど、こういうのは、焦点が何処にあるのかが見えないと、折角良い逸材(食材)が半生で出されちゃ勿体ないと思ってさ。彼の活動は少なからず見聞きはしているけれど、兄さんには兄さんにしか持ち得ない感慨や光景があろうと思うから。
by もん (2007-04-12 02:51) 

リス太郎

「兄さん」って俺のことかいな?
「放課後クラブ活動」・・・(笑) めったにせえへんっちゅうねん!
by リス太郎 (2007-04-12 03:05) 

もん

うちのコメントではその前に丁重に「リス小猿」をつけて差し上げてますわ。
インインちゃんにインできたら、小猿はとってあげる。
by もん (2007-04-12 03:11) 

リス太郎

インインちゃんはマジメすぎるので最近はちょっと遊んでる感じのクイインちゃんにモーションかけてます。
by リス太郎 (2007-04-12 03:13) 

もん

区委員ちゃんにインできたら、小猿を取りましょう。
さて。それまでにどれだけ財布を軽くさせられることか。男って莫迦よねぇ。
by もん (2007-04-12 03:18) 

リス太郎

ふつうに「バカ」と打てんのかっ!(笑)
by リス太郎 (2007-04-12 03:20) 

もん

関西人にバカはヤバイでしょう。でもアホより重度だから「莫迦」にしといた(笑)
by もん (2007-04-12 03:21) 

リス太郎

せめて「馬鹿」にしてくれへんかな・・・
「莫迦」って言われるとなんか・・・天竺にお経をもらいに行きたくなる。
by リス太郎 (2007-04-12 03:24) 

もん

ついでに得度してきなはれ。
by もん (2007-04-12 12:57) 

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