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9条フェスタ2008にて憲法を考える

今日(10月18日)は大井町のきゅりあん(品川区立総合区民会館)で、「9条フェスタ2008」が開催され、本を売りに行ってきました。
憲法9条(戦争放棄・戦力不保持・交戦権否認)を守ろうという趣旨のもと、賛同する人たちが集まり交流するお祭りです。
私は本を売りながら、隣りで売ってるマッコルリが気になって仕方ありませんでした。

7階のイベントホールは各種団体の売場などがひしめきあい、きゅうきゅうとした中での販売でした。
「反戦・平和」というテーマだけで選書しても、該当する本は数百点あります。
本を並べる机は1本しかないので、特に絞り込んだ数十点を並べました。

選書にあたってはいつも熟考するのですが、「自分にしかできない選書」というのを心がけてます。
書店の店員さんと同じ心境かもしれません。
セオリーは守りながらも、普通は選ばないだろう本をちょっとだけ混ぜる。
たとえ1冊でも、それが売れたときは嬉しい。

今日は『マルセ太郎 記憶は弱者にあり』が売れた。
この本、私も自分で買って読んだけど、実に共感できる。
(森正・編著 定価1,890円 明石書店・発行)

今日の一番の目玉は先日刊行したばかりの『えほん日本国憲法』。
(野村まり子・絵と文 笹沼弘志・監修 定価1,680円 明石書店・発行)
憲法の理念を12歳ぐらいからのお子さん向けに易しい文と綺麗な絵で描いた本。
大人向けの解説も充実しています。

絵がとってもいい。
細かく丁寧に描かれた絵は見ていて楽しい。
野村まり子さんも来られててお名刺をいただいたんですが、名刺に小さな絵が描いてある。

「これ、なあに?」じゃなくて、「これはなんでしょうか?」と遠慮気味に聞いた。
りんごであることはわかった。
色が茶色で木目のような模様があるので、木製のりんごだということもわかった。
りんごの左後に花束が描かれている。
で、「これ、なあに?」。

よく見ると木製のりんごに七色の色がついている。
りんごは木製の文鎮で、プラスチックの定規を通した日の光が、プリズムによって文鎮に虹色の光を当てているんだとか。
それに気づいて面白いと思い、絵を描いたんだそうです。

『えほん日本国憲法』には憲法の理念が日常の暮らしをもとに易しく描かれています。
この絵本を読んでいると、日本がとても素晴らしい国に思えてきます。

大人は子どもに対し、理想を語る必要があります。
真理を教える責任があります。

しかし大人は、理想どおりではない現実にも目を向けてほしいのです。
本来の理念どおりに解釈されていない憲法。
司法の現場で憲法の各条文がどう解釈されているか。

2007年5月、国民投票法が成立しました。
施行は2010年5月18日です。
憲法改正が発議された場合、国民投票をするための法律です。
(本当は「改悪」ですが、面倒なので慣習に従い「改正」と表記します)

憲法改正は「各議院の総議員の3分の2以上の賛成」で発議し、国民投票で「その過半数の賛成を必要とする」とされています。(憲法96条1項)
「過半数」というのは「有権者総数の過半数」なのか、「有効投票数の過半数」なのかで争いがありました。
当時、私は有権者総数の過半数と解釈するのが当然だと主張しました。

憲法はすべての法律・命令などの頂点に立つ最高法規です。
国際条約でさえ、憲法に違反した条約は結べません。
偉いもん順で言うと、憲法、条約、法律、命令、条令・規則となります。

投票に行かなかった人の意見を無視していいのかというのが私の主張。
商法や行政不服審査法を改正するのとはわけが違うのです。
ころころ憲法を改正してる国が多いのは知ってますが、だから日本国憲法も安易に改正していいとは思いません。

国民投票法は有効投票数の過半数で改正できると定めました。
最低投票率も規定されていません。
選挙権者は18歳以上の日本国民です。(選挙権年齢が引き下げられるまでは20歳以上)
終戦前から日本に住む在日韓国・朝鮮人の子孫にも選挙権がありません。

憲法改正の国民投票は、そのためだけに特別にやるとは限りません。
ある日曜日、参議院議員選挙の投票で小学校へ行ったら、投票用紙を1枚多くくれます。

「これなに?」
「憲法9条改正に賛成か反対か」
「は?」

なんてことになりかねない。
投票率40%の選挙でやられた日には、有権者の5分の1の同意で、日本は自由に戦争ができる国になる。

「自分の国は自分で守るのが当たり前」と言う人がいます。
じゃあなんで沖縄に米軍基地があるの?

そもそも「自分で自分を守る」なんてこと、人間社会では無理です。
密林のトラじゃないんだから。

憲法改正に賛成する人は35%ほどだという調査結果があるそうです。
もちろんこの人たちは、必ずしも9条改正を望んでいるとは限りません。
環境権やプライバシー権、知的財産権といった「新しい人権」に関する明文の規定を求める人もいるでしょう。

国民投票が実施されるとしたら、改正案を承認するか否認するかという選択肢になります。
改正案にはいくつかの改正事項が盛り込まれます。
9条改正だけでやることは考えにくいでしょう。

注意したいのは12条と13条です。
12条では国民の自由・権利の保持と濫用の禁止を定めています。
そして13条では個人の尊重を掲げ、生命、自由、幸福追求の権利について、公共の福祉に反しない限り最大の尊重を必要とするとしています。

濫用の禁止を謳っているのだからいいと思うのですが、9条などとともに改められようとしています。
「公益および公の秩序」という言葉を持ち出し、基本的人権に制約をかけようとしています。

世界の軍事費をすべて人類の幸福のために使えたらどんなにいいでしょう。
「そんなことできるかいな」と笑われるでしょうか。

「はじめに言葉ありき」と言います。
本田宗一郎が「すごいバイクを作るぞ」と言わなければ、世界のHONDAはなかったはずです。
不可能を可能にするのは、ひとりひとりの言葉だと思います。

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