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岐路に立つ外国人研修制度 〈中〉 6月30日付け日本経済新聞を読む [外国人労働者問題]

「日本人の雇用さえ満足に満たされていないのに・・・」という理由で、外国人単純労働者受け入れに反対する人は多い。
確かに日本経済は5年半にわたる拡大を続けているにもかかわらず、所得格差は広がる一方であり、「ワーキングプア」と呼ばれる人たちの救助が大きな課題となっている。
しかしこれは日本の経済構造に問題があるのであり、外国人単純労働者受け入れがその弊害になるとは考えにくい。
現実問題として縫製業や自動車産業の下請けなどでは深刻な人手不足がある。
また、政策次第では移民受け入れで内需を拡大し、経済を活性化することもできるのである。

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岐路に立つ外国人研修制度 〈中〉   2007年6月30日付け日本経済新聞より全文

   単純労働受け入れ焦点

 「強制労働の状況下に置かれている労働者がいると伝えられる」――。米国務省は6月12日に公表した強制労働や売春などを目的とする人身売買に関する年次報告書で、日本の「外国人研修・技能実習制度」を刺激的な表現で紹介した。
 報告書が「強制労働」とみなしたのは同制度に基づく最長3年の日本滞在のうち1年目の「研修」。労働よりも学習が目的との名目で、最低賃金法など労働法による保護の対象外となっているためだ。制度への不満はアジアを中心とした研修生・技能実習生の出身国にもくすぶっている。

研修廃止で対立
 米政府やアジア諸国からの制度見直しを求める外圧。残業代など時間外賃金の不払いや、パスポートや通帳を強制的に取り上げて自由な行動を妨害するといった法令違反のまん延をこれ以上放置できないという国内的な要請。内と外との2つの力が制度の見直しを強く促している。
 政府は一枚岩ではない。まず浮上したのが厚生労働省案と経済産業省案だ。両案は「外国人の単純労働は認めない」という国の基本政策の維持では共通する。だが、労働者の権利保護に軸足を置く厚労省と、グローバル競争をにらみ安価な労働力を確保したい企業の本音を背景にした経産省との思惑はすれ違う。
 両省案の大きな対立点の1つは「研修」を存続させるかどうかだ。
 厚労省は「研修」を廃止し「実習」を3年に拡大することを提言した。労働法の保護対象になる「実習」に一本化することで、不正行為を防ぐ狙いを込めた。
 一方、経産省は現行の「研修1年、実習2年」という制度の維持を主張する。罰則強化によって不正行為は抑制できると想定。労働法による保護の網がかからない余地を残し、中小企業などの求める「安価な労働力」の確保に配慮する。

国のあり方問う
 優良な研修生に限って現行制度で最長3年の滞在期間を5年に延長することで両省案は一致している。ただ、延長する2年について、厚労省は労務管理の充実した大企業の受け入れに限定するのに対し、経産省は中小企業にも幅広く門戸を開くべきだとしている。
 両省の案に一石を投じたのが長勢法相の私案だ。制度そのものを廃止したうえで、3年の期間限定で単純労働者を受け入れる内容。安価な労働力を確保したい企業の置かれた「現実」を追認しつつ、1年目から労働法の保護下に置いて外国人労働者の権利に配慮する折衷案でもあった。
 長勢法相は出入国管理を所管する外国人労働者問題の「担当相」であると同時に旧労働省出身で研修・技能実習制度を熟知した政策通。私案は現行制度の抱える理想と現実の矛盾を鋭く突いただけに、及ぼした影響も予想外に大きかった。
 日本経団連は「時期尚早だ」と慎重姿勢を示した。単なる制度改正と、「外国人の単純労働は認めない」という国の基本政策を転換するのとでは、議論のレベルが異なるというわけだ。
 単純労働者を巡る議論は移民受け入れや外国人の永住といった国のあり方そのものを問う。派生する問題も雇用、経済成長、文化摩擦、教育、治安など幅広い。小嶌典明大阪大教授は「制度改善と並行して、今後避けて通れない単純労働者受け入れについての論議を始めるいい機会だ」と話す。
 政府は2009年の通常国会に出入国管理法など関係法令の改正案を提出する見通し。日本の将来像を見据えた真剣な議論が急務となっている。

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日本社会を底辺で支えている外国人労働者。
それは研修・技能実習生であり、南米からの日系人であり、非正規就労者。
留学生たちの労働力も日本の社会と経済を支えている。

日本は専門的・技術的労働者に限り、在留資格を認めている。
いくつかの資格のなかに「興行」という項目がある。
「興行」資格で来日し、だまされて売春を強要されているアジアの女性たち。

あなたの身のまわりにいる外国人にもっと関心を向けてほしい。


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コメント 2

リス太郎

めぎさんへ
ナイス有難うございます。
by リス太郎 (2007-07-08 23:53) 

リス太郎

ぺりさんへ
ナイス有難うございます。
by リス太郎 (2007-07-10 23:27) 

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