価格高騰は豚肉だけじゃない イオンの方針に疑問
8月3日、イギリスで口蹄疫が発生し、4日、日本農林水産省はイギリス産豚肉の輸入を停止した。
イギリスからの豚肉輸入は微々たるもので(06年度5トン)、影響はないと思われる。
ただ、これが欧州本土の豚に感染したら、日本はもちろん、世界的に大変なことになる。
2003年度のデータだが、日本はデンマークから22万3千トン強の豚肉を輸入している。
これは全輸入量の30%であり、1位のアメリカにほぼ匹敵する。
ちなみに日本の豚肉の自給率は53.5%とされている。(2003年度 国産豚肉/推定出回り量)
誤解する人が多いのだが、人には感染しないし、感染した肉を食べても人体には影響ないので安心してほしい。
人体への影響が懸念される場合、農林水産省ではなく厚生労働省の管轄となる。
縦割り行政というやつである。
農林水産省は日本の家畜に感染することを心配して輸入を停止しているのである。
豚肉といえば今、中国で豚肉の価格が高騰している。
国が非常時用に備蓄している冷凍肉を解凍して市場に流すことも叫ばれているが、政府にそのつもりはないらしい。
肉というのはいったん冷凍してしまうと、解凍時にドリップが出るため歩留まりが悪くなる。
ストック経費を考えると経済効果が薄いとの判断だ。
豚の飼育頭数を増やせばいいと思うが、養豚農家にその気はない。
トウモロコシなど飼料の価格が高騰しているため、頭数を増やせば増やすほど赤字が膨らむ。
豚肉の高騰以上に飼育コストの上昇が激しいということらしい。
中国における豚肉価格高騰の原因は、急激な需要の拡大と中国内で発生した豚の疾病。
今年5月に比べ3割も上昇している。
中国政府はアメリカやカナダからの輸入を増やして、価格高騰を抑えようとしている。
既にアメリカではウデ肉の価格が約1週間で9%も上昇しているという。
日本ハムは今年9月からソーセージを値上げする。
世界的に価格が上がっているのは食料品だけではない。
アメリカでは綿花栽培をバイオエタノールのためトウモロコシ畑にし、オーストラリアでは昨年の干ばつのため羊の飼育頭数が減り羊毛が高騰している。
新興国の需要拡大に原油高、バイオエタノール生産拡大に異常気象。
イオンは生活関連100品目の年内「価格凍結」を宣言した。
セブン&アイ・ホールディングスも同じ意向のようだ。
競合他社をつぶしガリバーになろうとする2大小売業。
中小規模のスーパーは対抗できないだろう。
業者の事情を無視した独りよがりな方針に強い不快感を覚える。
コメント 0