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第21回歴懇芸能部扇好亭一門会 古典『壺算』と改作『霊感壺算』

ええ雨でんな。
ちょっとお疲れ気味なんでしばらく遊びます。
なんかもう、やってられへん。
そういうときもあるわな。

去る5月11日、雑司ヶ谷割烹大倉にて、第21回歴懇芸能部扇好亭一門会が行われました。
いつものようにギター漫談あり落語あり、紙芝居落語あり、ふざけた詩の朗読あり。
大トリは我らが扇好亭一門総帥のほん弥師匠による上方落語『いかけや』。

わし?
どうでもええやん。
40点。

中トリで『霊感壺算』をやりました。
この落語を聴いたことがあるのは今回の落語会にお越しくださった方だけです。
なぜなら私が初演だから。

古典落語に『壺算』というポピュラーな話があります。
テレビやラジオで聴いたことのある方も多いと思います。
私の『霊感壺算』は古典落語の名作『壺算』を独自に改作したものです。

古典『壺算』は江戸落語でも頻繁に演じられますが、元々は上方から移植されたものです。
断っておきますが、だから上方落語がエライなどと言うつもりは全くありません。

「移植」と書きましたが、この言い方は本当はおかしい。
落語は口承芸能なので、「移植」もへったくれも「元は上方」もヘチマもない。
落語というものは「こんなおもしろいことがあったよ」という話に尾ひれがついて形成されたものだと私は考えています。
落語に著作権はなく(少なくとも私はそう思う)、だからこそ時代とともに進化し続け、今日でも庶民のお手軽な娯楽として生き残っているわけです。

古典『壺算』の原典は江戸時代に出版された『軽口瓢金苗』だと言われています。
しかしこれはあくまでも「原典」にすぎない。
つまり我々現代人が確認しうる文献上の記録にすぎない。

同じような話は日本全国各地、いや、世界中にあったはずです。
我々日本人の祖先はそれを「落語」という表現方法で大衆芸能として練り上げてきた。
そこに「著作権」などという概念が入り込むと文化は廃れる。(つまり著作権法の目的から外れる)

落語は必ずしも江戸と上方だけのものではありません。
都会型の芸能であったことは否めませんが、全国各地に似たような芸はあっただろうと思います。
そしてその演じ方や技法は各地で独自の発展をとげ、演者によって工夫されました。
だから同じ話を何度聴いてもあきないわけです。

落語はもっと自由に形を変えていいはずです。
私の『霊感壺算』は古典『壺算』を逸脱した邪道ですが。

本来の古典『壺算』は大きい壺(ニ荷入り)を買うのにわざと小さい壺(一荷入り)を買います。
3円50銭の小さい壺を3円に値切り、7円の大きい壺に取り換えるにあたり6円にさすなどの買い物テクニックを駆使します。
そこまでは合法な交渉なのですが、最初に払った3円と下取りした小さい壺の3円で6円だから、大きい壺を持って帰ってええなと詐欺を働きます。

それに対し私の『霊感壺算』は、小さい壺を買いたいという設定にし、わざと大きい壺を買います。
それをあとから下取りさせ、小さい壺を買い直します。
最初に大きい壺の代金として600万円を支払います。
そのあと大きい壺を元値の600万で下取りさせ、300万の小さい壺を買い直すにあたり900万円の釣銭をせしめます。

壺と300万円を詐取するというかなり悪質な犯罪ですが、しょうもない壺を600万で売ろうとする霊感商法の壺屋も壺屋なので、ざまあみろという話。
ただ、江戸時代ののんびりした話だと思って聴いている人から見れば、いきなり600万とか300万とかいう金額が出てくるので違和感を持たれた方も多かったようです。

「江戸時代の話」と書きましたが、元ネタである古典『壺算』の時代設定は明治時代のようです。
古典落語というと江戸時代の話という思い込みがありますが、必ずしもそうとは限りません。
特に上方の古典落語は、かなりのものが明治以降の時代設定を想定して演じられている気がします。
「目の前のお客を楽します」というエンターテイメント精神に徹していたわけですが、その流れを不動のものにした最大の立役者は初代春團治です。

これは江戸落語と上方落語の歩んできた歴史の違いに大きく関係があるのですが、上方では特に「現在形の話」にこだわり続けたわけです。(「古典落語」という概念自体、実は比較的最近のものです)

余談ですが最近読んだ落語に関する本の中で、放送作家の松本尚久さんの著書『落語の聴き方楽しみ方』(ちくまプリマー新書)が面白くて奥が深いです。

正統な古典落語には何ともいえぬ味わいがあり、しっかり継承してほしいし、もっと一般のファンが増えることを望みます。(でないと廃れて聴けなくなるから)
しかし「現在形」であることを志向する必要があるのは、正統であれ邪道であれ同じはずです。
江戸落語の系譜を考えた場合、やはり立川談志という人は異色であり天才だったと思います。(あんまり好きじゃないけど)

古典『壺算』が明治時代の話だということの理由の説明としては、こちらのサイトがわかりやすい。
また、この落語の本来のオチである「坪算用」に関する私の長年の疑問にも明快に答えてくれています。
http://www.nn.iij4u.or.jp/~therans/yota/Tsubozan.html

『霊感壺算』はかなり早い時期から構想していましたが、忙しくて時間がなく、台本を書き上げたのは4月28日です。
小さな手帳に2時間で一気に書き上げ、胸ポケットに入れて覚え始めました。
落語会は5月11日ですから2週間で本番を迎えたわけです。

今回はっきりしたのは、「2週間では無理」ということです。
トチリを逆手に笑いを取るのは得意なので何とか聴いてもらえましたが、自己採点は40点。
本当は20点なのですが、出来の悪さのわりには笑いが取れたので20点加算しました。

「オウコ」という言葉をどうするかで最後まで迷いました。
「天秤棒」と言い換えて稽古していましたが、どうも調子が狂う。
庶民が日常的に使う道具を「天秤棒」などと眠い呼び方をするだろうか。
マクラで説明を入れるのは出来るだけ避けるようにしているのですが、「オウコ」と「一荷入り」は説明することにしました。

「オウコ」は漢字では「朸」と書くようです。
こちらの画像でイメージしてください。
http://www.city.settsu.osaka.jp/cmsfiles/contents/0000001/1135/p104-105.pdf

大阪のよめはんの実家に帰ったとき、吹田市立博物館で現物を確認してきました。
マスオさんみたいにぶらぶらしてるのも何なので。(マスオさんは会社に行きますが)
やはり「「朸(オウコ)」と表記されていました。
ウェブリオの歴史民俗用語辞典にも載っているので全国的な呼び名なのかもしれません。
http://www.weblio.jp/content/%E3%82%AA%E3%82%A6%E3%82%B3

特別展示に行基展をやってたのでそれも見てきました。(大人は200円)
私の趣味は博物館と美術館めぐりなのですが、最近はほんとに時間と余裕がありません。

「一荷入り」というのは天秤棒で担いだ前後の水桶がちょうど入る大きさの水壺のことです。
「ニ荷入り」はその倍。(「いっかいり」「にかいり」と読みます)
昔の大坂は水道事情が悪かったため水壺は庶民の必需品でした。
仁鶴師匠の『壺算』をCDで聴くと、大坂の「水壺」は江戸では「水甕(みずがめ)」と言ったらしい。

こちらが「水甕」の画像。
http://www.google.co.jp/search?q=%E6%B0%B4%E7%94%95%E3%80%80%E7%94%BB%E5%83%8F&hl=ja&rlz=1R2ADRA_jaJP427&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ei=sHWZUdicH4iXkwX33oHoCw&ved=0CCoQsAQ&biw=1106&bih=531

で、こっちが「水壺」の画像。
http://www.google.co.jp/search?q=%E6%B0%B4%E5%A3%BA%E3%80%80%E7%94%BB%E5%83%8F&hl=ja&rlz=1R2ADRA_jaJP427&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ei=i3WZUYGPCcXLkgWG_IG4CQ&ved=0CCoQsAQ&biw=1106&bih=531

なんでやねん、と思いましたが。

ちなみに現代中国語で「水壺(shui hu)」と言えば「やかん」のことです。
「水甕」は「水缸(shui gang)」と言います。

どうでもええか。
仕事しょ。

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マタイ24

ファティマ第三の預言とノアの大洪水について。
h ttp://ameblo.jp/haru144/

第二次大戦前にヨーロッパでオーロラが見られたように、
アメリカでオーロラが見られました。
また、ダニエル書の合算により、
エルサレムを建て直せという命令が、5月15日だと理解できます。
エルサレムを基準にしています。


2018年 5月14日(月) 新世界    +1335日
            ダニエル9:2   イスラエル建国70年

2018年 3月30日(金) ノアの大洪水   +1290日 過越14日-15日
2014年 9月17日(水) ダニエル12:11     +0日
2013年 5月15日(水) ダニエル9:25      -490日


天におられるわれらの父とキリスト、
死者復活と永遠のいのちを確信させるものです。

全てあらかじめ記されているものです。
これを、福音を信じる全ての方、
救いを待ち望む全ての方に述べ伝えてください。


by マタイ24 (2013-05-20 14:42) 

リス太郎

みんないろいろ、大変やねえ。

by リス太郎 (2013-05-20 15:02) 

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