SSブログ

東京ジャーミイ見学記 [国際交流]

今日2023年1月6日(金)午後1時40分、代々木上原のハチ公バス停に江戸川総合人生大学の仲間が集まりました。今日は教室を出てフィールドワーク。新年ということもありみな浮かれてましたが、寒さに弱い私はコロコロに着込んで震えていました。野山先生らに引きつられ、徒歩5分で東京ジャーミイ・ディヤーナト・トルコ文化センターへ。寒空にトルコ風のモスクが見えてきました。

今日のフィールドワークは去年2022年12月17日(金)の日本ムスリム協会の遠藤利夫会長の講義とセットになっています。

DSC_4131 - コピー.JPG

中へ入ると恰幅がよくて背の高い男性がおられ、我々にイスラム文化やモスクの紹介をしてくださる。その方が下山茂さんでした。あとで聞くと73才とのこと。60代にしか見えない。声が大きくよくしゃべる人でした。

DSC_4134 - コピー.JPG

イスラム文字をデザインしたもの。非常に美しい。

下山さんはまず、このモスクができた歴史についてお話ししてくださいました。1917年(大正6年)にロシア革命が起こり世界初の社会主義国家が現在のロシアに生まれたわけですが、トルコのタタール人(韃靼人)たちはロシアで迫害を受け、満州を越えて日本や韓国に逃げたそうです。彼ら彼女らのお祈りの場が必要だということで、まずは名古屋、そして神戸、最後に東京にモスクが建てられたと。その東京のモスクが現在の東京ジャーミイの前身である東京回教礼拝堂で、1938年(昭和13年)に建てられたそうです。

資金提供者は有村財閥が一番多く、他にも三井、三菱、住友など。竣工時の写真を見ると日本陸軍・海軍のそうそうたるメンバーで、右翼の大物ばかりです。当時は1936年(昭和11年)の二・二六事件の直後であり、日本が戦争に突き進んでいくまっただなかにありました。「反共」を国是とする日本としては社会主義国家ソビエト連邦の左翼化が日本に及ぶことを怖れたようです。

ここまで聞いて日本とトルコの友好関係は半端なものじゃなく、クルド難民を受け入れないのもそこにわけがあるのではと思いました。

トルコから持ってきたという1階の床の大理石で説明を聞いているといきなり大音量でコーランが流れ出しました。

DSC_4135 - コピー.JPG

書棚にはイスラム教に関する多くの本

下山さんはそれでも大音量でしゃべり続けるのですが、「2階へ上がりましょう」と。宗教の施設というのはどこもそうですが装飾が美しい。2階へ行くと礼拝堂があるのですが誰でも自由に入れます。このへんは仏教と違うところです。礼拝の邪魔にならなければ子どもを遊ばせておいてもいい。半年もすれば子どもは親の真似をして礼拝するようになるそうです。尚、礼拝は男女別々に行います。理由は男が女に変な気を起こすと神と向き合う妨げになるからです。

DSC_4138 - コピー.JPG

礼拝が終わったら撮影は自由です。コーランを読み上げていた男性はおそらく30代ぐらいで、来日4年目だというのに流暢な日本語でした。また、コーランはすべて暗誦しており、11才で覚えようと決意し1年間で覚えたそうです。聞きながら礼拝する信者は意味をわかっているのかという質問が仲間からありましたが、下山さんの回答は要するに心で聞くものだというようなものでした。仏教の経典だって元はサンスクリット語でしょうと。

小便の近い私は途中で1階に行きトイレに行きました。そしたらこんなスペースがありました。

DSC_4141 - コピー.JPG

銭湯かと思い下山さんに聞くと、ここで手足を清めるんだそうです。体は洗わないそうです。

下山さんはこれも伝えたい、あれも伝えたいと熱心にしゃべってくださいました。イスラム教とイスラム文化に対する偏見をなくしたいという熱意が伝わってきました。イランはイランという国家が法律でイスラム教を強制し、違反者を虐待しているのだ。我々はそうじゃない。

私もイスラム教に改宗してもいいんですがお酒を飲めないというのはちょっと困ります。はて、煙草はどうなんだろうとネットで調べたらコーランに書かれてないので適当にやってるみたいですね。あと気になるのは食べ物。豚肉を食べちゃいけないのは有名ですが、豚は雑食で屎尿も食べるので禁止しているという説が有力なんだとか。他にも説があると言いかけた下山さんですが、違うことを思い出したようでそっちへ話題が移りました。

質問タイムで私は「世界平和を望むイスラム教徒がクルド人を虐待するのはなぜか?」と問いました。下山さんは「そもそもシリアにしてもアフガニスタンにしても境界線を引いたのはイギリスとフランスです。そこに問題があります」「でもクルド人の多くはイスラム教徒じゃないですか」「そんなことありません。少数派です」「しかし虐待が行われているのは事実ですよね」「この話は難しい」。

私は特にどこの宗教を信じているわけでもないので、といって「無宗教」というと欧米人から獣扱いされるため便宜上「仏教」と答えているのですが、私が死んでも葬式はいらないし坊主に1円もくれてやる気はありません。ただ、宗教というものは人間が生きて死んでいくにあたり非常に重要なものであることは理解しています。

下山さんのお話でもっとも興味深かったところなのですが、政教分離を徹底したフランスではオカルトに走る若者が相次いだらしいのです。ドイツは中学だか高校になると「宗教」という授業があり、カトリック、プロテスタント、仏教、ヒンドゥー教、そして最近になってイスラム教の中から選べるんだそうです。そうすることによりおかしな宗教団体に入ってしまう若者が減ったのだと。日本は去年後半、統一教会問題で揺れたわけですが、文科省は宗教教育を考えているはずだとおっしゃいます。

とにかくいろんな話が聞けて紹介しきれないのですが、1階にハラルの店があったので見学しました。

DSC_4143 - コピー.JPG

私はお客さん用のマンゴージュースの徳用と、野山先生おすすめの無添加の食パンを買いました。

次回1月13日(金)は篠崎の教室で2年次第13回の講義があります。テーマは「共生社会における基礎教育の重要性について考える」です。

nice!(9)  コメント(4) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 9

コメント 4

アニマルボイス

民族の問題は、問題とされる民族が一般に少数派ということから無視されるか敵対勢力(弾圧の対象)と看做されるので、なかなか議論が進んでいかないですね、日本でも、「日本は単一民族」と言ったり、差別を差別と認識していない「生産性」おばさんのような人が国会議員をやっているような状況ですから。

マンゴージュース、うまそうですねえ。トルコとマンゴーって関係あるんですか?
by アニマルボイス (2023-01-06 21:57) 

リス太郎

アニマルボイスさんへ
下山さんはクルド人はもともとトルコでは多数派だったと言っていました。どこで国境を引いた時点かわかりませんが。ネットで調べるとクルド人の宗教は多様ですね。
https://www.ide.go.jp/Japanese/Publish/Reports/AjikenPolicyBrief/107.html#:~:text=%E3%82%AF%E3%83%AB%E3%83%89%E4%BA%BA%E3%81%AE%E4%B8%AD%E3%81%AE,%E3%81%95%E3%82%8C%E3%82%8B%E4%BA%BA%E3%80%85%E3%81%A7%E3%81%82%E3%82%8B%E3%80%82
トルコとマンゴーの関係はよく知りませんが、南アジアの人たちはマンゴージュースを喜ぶので買ってきました。「トルコマンゴージュース」で検索するといっぱい商品が引っ掛かってきます。
by リス太郎 (2023-01-07 10:52) 

アニマルボイス

2/6は、お騒がせしました。
まあ、世の中にはこちらが思ってもいないことを言い出す人がいるということで、今度会ったときにでも話します。(^^;
by アニマルボイス (2023-02-07 10:28) 

リス太郎

アニマルボイスさんへ
ワイルドさんみたいに怒りの電話かとびびってしまいました。
by リス太郎 (2023-02-08 19:37) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。