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白い杖が見えない大人たち

仕事で御茶ノ水駅をよく利用する。
新宿などから会社へ戻るときはJRで御茶ノ水まで行き、千代田線に乗り換える。
白い杖で歩く盲目の少女によく会う。
いつも白い服を着ている。

彼女は夕方5時台に、JR御茶ノ水駅改札を出て千代田線に乗り換える。

私は彼女を少し離れてずっと見てる。
どんなに急いでいてもずっと見てる。
危険があればすぐ駆け寄れる距離をキープしながら。

JR御茶ノ水駅聖橋口から地下鉄千代田線新御茶ノ水駅ホームまで、冒険の一部始終を見守っている。

信号をわたり千代田線への降り口を探す。
杖を大きく左右に振りながら、地下へと降りる階段を探す。
点字ブロックにたどりつくまで、かなり距離がある。

彼女は地下への降り口の左側を杖で探り当て、手すりにつかまりながら長い階段を降りていく。
階段から転げ落ちないかという心配。
また、行き過ぎてしまうと大通りへ出てしまい、非常に危険である。

あるとき、転げ落ちるのが心配で、階段を少し降りたところで見守ってた。
彼女は降り口の左側、つまり私から見て右側の影に隠れた。
通り過ぎてしまったのである。

鉄砲玉のように階段を駆け上がり、彼女を探す。
幸い、ある年配の女性が保護し、事なきを得た。
それ以来、階段の下から見守るのはやめている。

彼女が降り口を探り当てそこねた原因ははっきりしている。
地下鉄の階段入口のスペースに、立ち話をする3人の男たちがいたからである。

白い杖が足元に当たっても、チラリと見るだけでその場を動こうとしない。
再び立ち話を始める。

同じ場面は過去に何度も目撃している。
おとついもそういった場面に遭遇した。
白い杖が足元にあたっても、「なんだこの子は」という視線で見下ろすスーツ姿の男性3人。

みんなが彼女を無視しているわけではない。
心配そうに見守ったり、「大丈夫?」と声をかけるのは、必ず中年以上の女性。
彼女はよっぽどの場合を除き、「大丈夫です」と答え、礼を言う。

自分の身の回りのことは出来るだけ自分でやりたい、解決させたいんだと思う。
だから私はそっと見てる。
声をかけるかどうかは、そのときの判断である。

2006年に実施された学力到達度調査(PISA)の結果がOECDから発表された。
2000年、2003年と行われ、今回3度目のこの調査、対象は世界57の国・地域の15歳約40万人。
日本の15歳学力は「科学的応用力」「数学的応用力」「読解力」の全てで順位を落とした。

「日本の子どもがバカになった」と大人たちは言う。
果たしてバカはどっちであろうか。
今一度、冷静に考える必要がある。


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リス太郎

ゆゆちゃん、ナイスありがとう。
by リス太郎 (2007-12-16 00:25) 

リス太郎

降龍十八掌さんへ
ナイス有難うございます。
by リス太郎 (2007-12-24 15:58) 

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